侘び助/仙台せり鍋@宮城県/仙台市青葉区
2019年1月26日(土)
仙台に来ています。冬の東北の美味と温泉を求めて。
まずは仙台でお夕食。仙台で有名な、でも全国的には食べられていない「芹鍋」を一度は食べてみたい!と熱望していました。(芹鍋にはシーズンがあり、通年提供ではありません。また店ごとにシーズン終わりも異なります。お店への確認を。)
地下鉄「大町西公園駅」という、およそ観光客が立ち寄る可能性は低そうな駅で降り、てくてくと暗い道を歩いて来たよ。一見フツーの町の居酒屋ですけど、ここが芹鍋の名店、侘び助さん(食べログ)
2016年、ひとりで仙台城に行った時のこと。ボランティアおじさんが仙台の美味しい店情報を教えてくれた。「芹鍋なら蔵の庄か侘び助。中途半端な店で食べたのでは、芹鍋の本当の旨さは分からないんだ」そのご宣託がずっと記憶に残っていました。
「仙台の、芹鍋の店を予約したよ」オットがチョイスした店が、まさかのボランティアおじさんイチ押しの「侘び助」だったという偶然。というか、仙台で芹鍋といえばまずこの店の名が挙がるらしい。実際にめちゃ美味しかった!カウンター脇にリアル侘助が。
突出しの「やりいか煮」をエビス生(650円)でいただきつつ、芹鍋以外のお料理を選択。
左:茄子揚げ浸し。鰹だしの香りが立ち上る揚げ出し。右:鱈しらこポン酢を東北の太平洋側では鱈菊酢と言うそうです。丁寧な下処理で美味しい。けどこれで900円は高いな。
「芹の根の天麩羅」3本で850円と、なかなか高い根っ子である。芹根との初遭遇だったのだけど、抵抗なく根っ子を食べられたわ。てか、天麩羅では根っ子の良さがイマイチ分からなかった。鍋の方に期待しましょう。
お刺身をおまかせで4千円分お願い!と申し上げて造っていただいた刺し盛り。つぶ貝、雲丹、北寄。ワタシの好きな貝類でうれしい。国産蛸(胡麻油が塗ってあった)、生めばち中トロ、天然鰤。
すでに美味しくてごきげんなこにゃくう夫婦。日本酒は幅広い品ぞろえ。値段設定も高すぎることが無いので選択に困りません。今日は宮城の酒しばりで行こうか~
大崎市の宮寒梅、栗原市の綿屋、塩竈の阿部勘・・・最終的にはこの3倍は飲んだナw
そしてメイン登場。これが芹鍋ですか~。植物の根っ子なのに太々としていて力強そう。後方に通常の芹の上の部分が控えていますが、完全に主役は根ですね。手前のお肉は鴨肉ですって。(画像は2人前)
我らのカウンター席に土鍋がセットされました。えっと、どーやって鍋に仕上げたら良いのかな~?と固まっていると、女将さんが登場してくれて鍋は私が作ります、と。有難いです!
女将さん鍋制作中の画像。以下、投入してからとんすいに取り分けて提供してくれるまで5分とかからない手際の良さを目の前で展開してくれました。しかも、芹鍋についての解説をガッツリ聞かせてくれます。女将のトークも芹鍋の味を引き上げてくれるのです。
女将さん「芹の根が太いでしょ?80軒の農家か集まる集荷所で一番いい品を探して探して、買うの。名取の農家さんの朝採れよ。八百屋で売られているのは朝採れという訳にはいかない。甘味がまったく違うの」目利きの女将さんの人脈と信頼で、まず素材からして他所とは別物なのですね。
女将さん「お店に持って帰ってきてからが大変な作業。周りの茎を剥いて砂を取る。黒くて細いひげは苦味が出るから取除くの。産毛は歯ブラシで取るのよ。芹を磨くのは山切りカットの歯ブラシがベストね。一日の予約の為に5、6時間かけて芹を洗うの」へ~!その下ごしらえの作業を思うと、一人前1700円(うどん、雑炊付)って申し訳ない気分ですっ
そこまで出来ないお店がほとんどでしょう。砂と泥を落とすだけでもコストがかかりそうだもの。「この店に来て、別物だ!と言われるとそんな疲れもとれちゃいます」と明るい女将さんです。
鍋、というより目の前で調理をしてくれたという感じです。「さあ、どうぞ!」(女将)見た目も美しくとんすいに盛られた芹鍋。こ、これは・・・旨いっす!根の部分。最高に甘い。そしてシャクシャクした噛み応えも楽しいぞ。細~い大根とも思える。上の緑のパーツもほろ苦くてまた別の味わい。元は一体の植物とは思えません。「この後でうどんとおじや作りますね~」と一旦去っていく女将。
出汁も最高だったね、と何も無くなった鍋を覗き込んでオットと余韻を語り合う。鰹と昆布の出汁。そこに芹と合鴨しか具材は入っていないのにね。そういえば、女将さんは「鶏肉を用いる店もあるようですけど、うちは合鴨じゃなければ出汁が出ないと考えています」って言っていたものね。
頃合いをちゃんと見てくれていて、20分ほど後に女将さん再登場。うどんを仕上げてくれました。
芹鍋の料金にうどんと雑炊、2つの〆が含まれているのがウレシイ。どっちにしよう、って悩まなくて済むのだ。
つづいておじや。ここでも女将さんはスゴ技を見せてくれました。芹鍋、うどん、の後だから出汁はほとんど無い。てっきり追い出汁を投入すると思っていたら、ほんのちょこーっとの液体でおじやを作り始めたのだ!え?焦げないの?
女将さん「おじや用にはほんの5ミリ出汁が残っていれば十分。おじやのためにお出汁を飲むのを我慢しなくてもいいのよ~」溶き卵と出汁で、御飯の一粒一粒をコーティングすることが大事、と仰る。確かに、ぐつぐつ煮ると御飯が溶けて崩れるだけだものね。敬意を払って、土鍋にもとんすいにも一粒残さずに食べました!
女将さんはじめ、スタッフの方はみなさん感じよくてテキパキ。お店の雰囲気もザ・居酒屋とは違い、女子飲みもアリですね。我々のような観光客が主ではなく、仙台の人々に愛されている模様。芹鍋はもちろん、それ以外のお料理もなかなか良かったですわ。(侘助の芹鍋にはシーズンがあるので要確認です)
人生初の宮城県仙台せり鍋。良い食の体験ができました。メモにはよれよれの文字で『またきたい』と残っています。(記録メモ:相当飲んで16600円の会計。明細は出してくれないタイプの店で内訳不明)
【つづく:翌日から山形へ】
★★★☆☆3.41 ■予算(夜):¥5,000~¥5,999
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