この正面は19世紀に改築が行われて今の姿になったそうだ。欧州の建物なのにどことなくイスラムの香りがするデザインだなあ。金色が効果的に散りばめられたモザイク模様。欧州の他の大聖堂と違う雰囲気で個性的だね。
アマルフィ大聖堂の見どころのひとつがここ。「天国の回廊」と命名された半屋外の回廊。
椰子の樹が植えられて、地中海風味のお庭が気持ちイイね。
似たような回廊をフランスのモンサンミッシェルでも見たなあ・・・などと思っていたら
「この回廊はアマルフィ貴族の墓地なのです」と添乗員女史さんの解説が入る。これで墓地なの?
朽ちてなお煌めいている金色のモザイク・オブジェ。一部分だけが残って壁に掛かっている。
コレってリッチな人のお墓の一部だった物かしら?(説明掲示がされていないので想像するしかなく)
中身が空っぽの石棺とか並んでいましたが
(ご遺体はどこにいっちゃったのやら…?
)墓地要素は感じられなくて、むしろ爽やかな中庭。たしかにこんな場所が墓地だったら快適かもね。
「もうひとつの見どころはこちらの地下聖壇です。アマルフィ大聖堂は聖人アンドレアをお祀りしています。アマルフィという町はアンドレアが守護神なのです。中央のX型十字を背負っているのがアンドレアさん。彼は磔刑に処せられた時、Xクロスに架けられたと言われています」
(添乗員女史さん)
ワタクシが盛大に驚いたのが、この金色柵で蓋された空間の中の件!添乗員女史さんの解説はつづきます。
「聖人アンドレアの遺骸が入ってます」(彼女は手と言ったが検索すると頭部だったり骨と説明するサイト有り)
「遺骸が収められた棺の上に瓶が置かれていて、液体が湧いて溜まります」(えっ?ナニ言ってるんでしょ?)
「マンナと呼ばれる聖なる液体です」(誰かがこっそり水道水を注いでる…とかじゃないんですか?)
この画像を撮る時なんとなーく、表面に液体の煌めきを見たのですが、恐くて正視できず…(汗)まぼろしだったのかな~

遺体からじわじわ出るナゾの汁・・・って何のホラーですかね^^;
聖人アンドレアの遺骸は、1208年十字軍遠征に出資したアマルフィがコンスタンチノープルから(半ば強引に)ここに持って来て、自分らの町の守護神にしちゃったんだそうです。
エグイわね、当時お金持ちだったアマルフィの人たちw
さて、添乗員女史さんに礼拝堂やその他の解説をしていただいて、後は各自フリータイムへ。
アマルフィの町探検しようかな、とも思ったのだがムスメ、曰く・・・
「アンドレアが眠る地下礼拝堂の天井に描かれた絵をじっくり見たい」とおっしゃるので、こにゃくう&オットもお供することに。うん。確かに荘厳な宗教画がぎっしりだね。
まるで宮殿のようだよ。ただ、パパもママもキリスト教にまったく知識が無いから、何が描かれているのかサッパリ・・・
「じゃ、教えちゃる」(ムスメ)
以下、ムスメの解説を伺いながらの見学です。
(ムスメ)アンドレアはね、キリストの弟子になる前は兄ちゃんのペテロと二人で漁師だったの。
(こにゃくう)ああ、それで大聖堂の入り口にこんな絵があったのかー。
(ムスメ)上部↑の画像は1コマ目。
魚が獲れなくてマイッタな~、って言ってる漁師兄弟。そこにナゾの人物イエスが通りかかる「私が船に乗れば風が止むし、船の右側に網を打てば大漁だよ」って予言される。
(ムスメ)下部は2コマ目。 言われた通り大漁ゲットで「スゲー!」って、驚く兄弟。
オレたち弟子になります!…って展開です。彼らはイエスの最初の弟子になりました
(こにゃくう)ふーん。イエスはキャッチで弟子をスカウトしてたんだー。
(ムスメ)手前右がアンドレアかな。赤い布を巻いた、左の人物がイエス。「おまいらの中の誰かが私を裏切る」って予言していて、弟子たちが「オレらそんなことしないっすよ」って言ってるところかな?イエス含め13人いるから、左奥でテーブルに着いているのが裏切り者のユダだろうと思われる。
(こにゃくう)へー。ユダだけ顔を暗くして、分かりやすい描き方してるんだね。
(ムスメ)この絵は最も分かりやすいでしょ?最後の晩餐のシーンです。
(こにゃくう)真中の人はイエスの話しが長すぎて寝ちゃった?
(ムスメ)彼は最年少の弟子、ヨハネです。幼いから寝ちゃったのかもしれませんけども、彼は美少年という設定なのでイエスが特別にかわいがったという説もあります。で、イエスとの別れがとりわけ悲しくて号泣している、とも取れますね。
(ムスメ)最後の晩餐といえばパンとワインが食卓に、のイメージありますよね。あれはダビンチの絵があまりに有名で浸透しているのですが、4つの福音書のうち3つは仔羊の丸焼きだった、と唱えています。ちなみに福音書って「エバンゲリオン」な。
(こにゃくう)エバンゲリオンってそーいう意味だったの~?
(ムスメ) 「食事の後イエスが弟子たちの足を洗い出します。師である私でさえキミらの足を洗ったのだから、キミたち同士はこれから互いに足を洗い合いたまえ、って言うんだ。仲良く協力していってね、って言いたかったんでしょう。なのに、じゃ、ついでに手と頭も洗ってちょ、とかずーずーしいこと言っちゃった弟子(ペドロ)もいたんだけどね。イエスったら真意が伝わりづらいことするよねえ」
(こにゃくう)その足洗い事件って有名なエピソードなの?初知りだわ。そーいえば神奈川県には洗足学園ってキリスト教系の学校があるけど、コレが元ネタだったんだねー!
(ムスメ)「コチラもいまひとつイエスの思いが伝わらないシーンです。明日はいよいよ磔刑になるという前夜のこと。怖いなー、と不安に襲われるイエス。不安解消のため、オリーブ山のゲツセマネの園に行って祈りをささげるから、その間、寝ないでボクを待っててね、と弟子にお願いするイエス。
「寝るわけないっすよ!」と、請け負う弟子のペテロ・ヤコブ・ヨハネ・・・という図です」
(ムスメ)3人とも寝落ち!
まさかの展開でイエスが気の毒になりますねw そこへ天使が現れて、イエスを慰めてくれているのがこの図です。ネトゲでミッション中、友だちに寝落ちされるみたいな感じ?・・・ですかねw(漫画・聖おにいさん第19話参照)
(こにゃくう)これも知らなかったら何が何だかわからない場面ですね。兵士に取り囲まれて男性2人がイチャイチャしてる?横では酔っ払いの喧嘩か何かですか?
(ムスメ)これはユダの裏切りのシーンです。イエスを捕えたくても本人の顔がわからなかった官憲。ユダは予め「私が頬にキスをした人間がイエスです」と打ち合わせていた通り、皆の前でイエスにキスをします。横ではペテロがイエスを逃がそうとナイフを持って、掴みかかっている、という図です。
(こにゃくう)親愛の表現であるキスが裏切りのサイン、ってずいぶん皮肉なエピソードなんですね
(ムスメ)いよいよイエスが処刑地・ゴルゴダの丘へ行く道すがら。エルサレムのベロニカという女性がイエスを気の毒に思って自分のベールで汗をぬぐってあげた、というエピソードの場面です。後にベールにはイエスの顔が浮かび上がったとかなんとか・・・このベールの現物だと言われる布は、今も奇跡の証拠として現存しているそうですけどね。
昨年、英国に行った時、2010年にフランスに行った時。たっくさんの教会に行きましたし、たくさんのキリスト教名場面集(?)みたいなステンドグラスや絵画を見ました。でも、ひとつも知識が無かったので、へー。キレ―だね。(棒読み)で終了していたのでした。思えば実にもったいないことをしていた。
「大学の選択授業でね、’キリスト教図像学’って授業を取ったんだ。その授業がおもしろくて驚きがいっぱいで、それでいろいろ知識を溜めたの」(ムスメ)
ワタクシもオットもキリスト教って興味ないばっかりに、今まで避けてやり過ごしていました。今回アマルフィの自由時間を全部使って知ったイエス・エピソードは、ほんの触り部分。
しかし、今後の旅に於いてもおおきな指針になってくれそうです。レクチャーしてくれたムスメに感謝。
イエス・キリスト30代男子(独身)スーパースターのようでいて実は人間臭い、悩み多い青年だったということ。今後も旅先のいろんな教会で彼と再会したいです。
(当記事中の内容については間違いも多いことと思いますがご容赦を)