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東京のうまいもん

タパス・モラキュラー・バー★東京・日本橋、マンダリンオリエンタル東京

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2017年4月9日(日)

まだ東京に桜が咲いていた時期のことです。

4月はワタクシこにゃくうの誕生日月である。
「おもしろいレストランを予約したよ」 (オット)

というお店だと。


そう言うオットに連れて来られたのは
東京日本橋のマンダリン・オリエンタルホテル。
ごっつうゴージャスなホテルですねー。



「おもしろいレストラン」って何でしょ?
おいしいレストランじゃないんですか?



予約時間の午後6時。
ホテルの38階にあるティ・ラウンジへ。
夕方のお茶タイムを楽しむ人たちが集っている。
「おもしろいレストラン」はこのティ・ラウンジの一角、
バー・カウンターの席なのだ、という。



「他のご予約のお客様の到着が遅れているので
ラウンジで少々お待ちください」
バーカウンターは8席。
最大8人限定の完全予約制で
しかも、予約客が打ち揃ったところで食事開始というシステムなんだそうだ。



38階から、真下にある
日本銀行本店の屋根を見下ろす。
日銀って、ホントに「円」の形をしてるんだねw



予約時間を10分ほど過ぎたところで
「ご予約のお客様がみえないので、先にご案内いたします」
ということで我ら2人だけでお食事開始。
すまんのう。



カウンターに用意されていたのは
バンダナで包まれたナゾの箱。
お弁当箱みたいな?
そして、実験用シャレ―の上に錠剤&フラスコに液体。
それが、各人に1セットずつ置かれている。

ほんと!おもしろいレストランだ!



フラスコ内の液体を、錠剤にかけると・・・
錠剤はムクムクと湧き上がって
お手拭きとなりました。
乾燥圧縮されたナプキンだったんだね。



バンダナの包みを解くと
工具箱。
「お料理を召し上がって頂くための道具が入ってます」
ピンセットで食べる料理が出て来るんかーいw



かわいい!欲しい!と思ったのがメジャー。
引っ張り出すと
メニューになっている、という想定外の小細工w



やがて、遅れていた他のお客様も到着。
(中・高生ほどの3人のお子様を連れた、5名様のシンガポール人ご家族)
最初のお料理は
「キャビア」
湯葉をクッションのように膨らませた上に
こんもりキャビア。



「手掴みで召し上がって」と。
そうだよね、コレ崩れちゃうもん。
膨らんだ湯葉の中にタラバガニのサラダ。
上手く湯葉を膨らませるのって大変そうだ。
(喰いついた断面の画像で失礼!)



2皿目、アート作品のようなガラス器に乗って来た。
ホタルイカだー。
今が旬だよね。
「グリーン&ホワイトのアスパラガスとじゃが芋のムースです」
(ムース、と言われたが正確にはエスプーマ)



見た目は簡単な料理に見えるけど
このホタルイカに手間暇かけてある。
備長炭で燻製にしたのだ、という。
大振りなホタルイカが口中で爆発するとき
藁炙りのような香ばしい薫香が
口にも鼻腔にも広がったのには驚いた。



メジャーのメニューでは
「アスパラガス イカ/ポテトエスプーマ」
としか書かれていない。
これだけの情報では、この料理は伝わらない。
ライブ状態で目の前で調理してくれるシェフ自らの解説が大切なんだ。
バンクーバ出身の日系人シェフは、訊けば何でも説明してくれる。

ホタルイカをBaby squidとな?
シンガポール人一家には分かり難いので
ホタルイカの光る動画を見せてあげていたシェフ。



3皿目の料理。
「マッシュルーム、イベリコハム、チーズ出汁」
はて?
そう。ここのメニューはヒント程度でしかないのだ。



で、やってきたのはコレ。
4種の国産きのこをセミドライに乾燥させた。
下にはたまねぎピューレが敷かれ
イベリコ豚ハムもチラホラ見える。

そこにパルメジャーノのスープを目の前でかけてくれた。


吹き寄せのようで、崩すのがもったいないのだが
「スープを吸わせて10~15秒が食べごろ。
ピンセットで召し上がってもけっこうですよ」と。
へ~、ピンセットはここで使うんだー。



4皿目。
「温泉玉子、トリュフ、豆腐、南瓜」
この店のスペシャリテがこの温泉玉子なのだそうだ。
が、コレに卵は使われていない。
かぼちゃと豆腐で作った「温泉玉子もどき」だ。



『ムース状にしたカボチャにカルシウムを混ぜ、
とある水溶液に入れると、表面に膜ができるといいます。
この作用を利用して、まずは黄身の部分を作ります。
同じ原理で作った豆乳製の卵白部分と合わせることで、
シェフは特別な温泉卵を完成させました。』
ウェブより)

は?
何言ってるのか理科オンチのワタクシにはサッパリです^^;
外皮が豆乳、黄味はかぼちゃってことですね?
黒トリュフの香り、はと麦の食感も楽しいし
フツーに料理として美味しいので◎です。


5皿目
「甘鯛、茶碗蒸し、ネギ、しょうゆ泡」
このメニュー名でこのお皿は想像できないね。
260℃の油を掛けて鱗をパリパリにした甘鯛が好食感。



黄色のコレ、茶碗蒸しなんだよね。
海ぶどうは外国人のお客様には驚かれるそうだ。
「ベジタリアン・キャビア」と説明されているそうだ。
上手い事言うなあ。



シェフ殿が
大粒の、北海道産きたむらさきウニをご披露されている。



6皿目はウニを使った一皿ということですね。



山口県産車海老に函館産のキタムラサキウニ。
車海老の頭がカリカリに揚ってる。
でも、海老のボディは生。
トッピングに桜えび。



7皿目。
「お茶漬け」!ですかー。



コーヒーサイフォンを取り出すシェフ殿。
チキンコンソメと桜葉の塩漬けを合せている。
ああ、それで「桜茶」なるものを作るのですね?



そーしていると
「このまま食べても問題なくオイシイんじゃ?」
と思われる帆立貝柱が登場。

ピンクの桜色は道明寺の餅粉を揚げた物。
胡瓜に桜塩をパラリとしたものはお新香代わり、とか。



じゃじゃ~っと桜茶なるスープを掛けて
お茶漬けに。
真空低温調理してから表面を焼いた、という帆立。
半分は、そのまま食べたかったネ。
ちょっと言い出せなかったへタレなワタクシw



8皿目。
「ほろほろ鳥、酒粕、燻製、野菜」

「63℃で40分かけて、ジューシーに仕上げました」
という、ほわほわのホロホロ鶏。
鶏肉とはまったくちがうのだなあ。


大吟醸の酒粕と味噌のソースが敷かれている。
マイクロサラダの上で透明に輝くのは
柚子のドレッシングをジュレ状にしたもの。



9皿目
お料理はようやく最後。
「和牛/サーロイン、山菜、ガーリック・クリーム」

サーロインには醤油に牛脂を混ぜたものがかかる。
こごみとタラの芽が春っぽくてうれしい。



お肉も上質だけど
驚かされたのは白い球体。
ヨーグルトとにんにくのソースが入っているカプセル。
サワークリームのイメージだそうな。
二つの球体のうち、
ひとつを割るとにんにくの香り
2つ割るとにんにくの味が出てくる。



9品ものお料理が終わったところだが
シェフ殿は引き続き、デザートの準備に突入。



液体窒素を操り、
もはや、料理というより理科実験教室状態w

はい、コレ!


10皿目、デザートその1
「桜フォンダン」
液体窒素で外皮のチョコを一瞬にして凍らせた。
内部は温かいさくらんぼとチャイのムースのチョコソース
という凝りよう。

「さあ!5秒以内に食べてくださいっ。」
というシェフ殿の号令で
嬉しそうにどよめく我ら7名の客。



美味しくも儚いスイーツの芸術品。
「8ヵ月前に開発に着手して、テクニックを習得するのに
2週間半かかりました」
というシェフ殿の渾身のデザート。



「次のデザートはイチゴです。
1つは本物のイチゴ、もうひとつはウソのイチゴ。
ハンマーで割って食べてくださいね」

ワタクシでも分かる平易な英語を用いて説明してくれた。
シンガポール一家向けに英語で解説するのだが
この英語なら、同じことをもう一度我ら2名に言わなくても大丈夫。



「雪を降らせまーす」
スモークもくもく!で
なんだかスゴイお皿の様相になってきた。
シンガポールご一家は大喜び。
もちろん、こにゃくう一家も。



11皿目、デザートその2
粉雪が降り積もった2種のイチゴ。
桜リキュールを煮詰めたソースに、雪が溶け込んでいく。
早く食べなきゃ!
道具箱からハンマーを取り出して
いただきまーす。



ニセいちごは飴細工だった。
(緑色のへたも飴細工)
パリッと割ったら
中からいちごの人工いくらの粒々がこぼれ出した。
カスタードクリームも併せて口に入れると
ストロベリー・ショートケーキの味になる、ってわけ。



12皿目デザートその3
「お餅、タロイモ、ココナッツ、ゴマ」
餅じゃなかった。
ココナッツとタロイモのアイスクリーム。
食感が餅っぽい、ってことで餅と命名しているのね。
白ごまのパウダー。
突き刺さったのはチョコレートの木。
上生菓子の時に使う黒文字でいただきます。



13皿目デザートその4
「ミントチョコ」
ミントチョコ風味のメレンゲを液体窒素で漬けこんだ、とな?
↑画像の、キノコ状になっている物体のうち
傘に見える部分がミントチョコ。

「口に入れたらすぐに噛んでくださいっ
パウダー状になるまですぐに!」

じゃないと口の中をヤケドします

・・・恐ろしいことを仰る^^;


「鼻から息を吐くと白い煙が出ますヨ」
と、自ら実験台になって披露してくれるシェフ殿。

以上、13品、2時間の料理スタジアム。
ごちそうさまでした。


8時になると次の回が始まるので
ラウンジに移動して、
残ったワインを最後までいただくことにする。



奇を衒う趣向先行のレストランなのか?と思ったら違うと思う。
料理として美味しいし、洗練された味だ。
けして自分では再現できない料理たちに
外食の醍醐味はここにあるのだな、と思う。
理科実験のような仕掛けには
男性客の方がウケるのではないかしらね。
シェフ殿のホスピタリティも申し分なく、楽しいひと時だったわ。
最後にはシンガポールご一家とも
ひとつの料理を共有した仲、という感じになるのも
少人数カウンターゆえですね。

しかし、中高生なのにシンガポールのお子様は
何一つ残さずに食べ切った!
すばらしい躾です。
ウチのムスメなら日本人なのに山菜とか残しそうでイヤです^^;


最後にお会計。
コースは1名2万2千円。
ワインはお安目のも用意されています。
7500円のワインを2本。
お水はノンガスで1850円。

お誕生日に貴重な食の体験をさせていただきました。
あー、極楽極楽。



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2 Comments

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amalfi  

2017-06-13 20:25

素晴らしい誕生日のお食事になりましたね。ご主人様の愛情いっぱいで席でしたね。

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こにゃくう  

2017-06-14 02:13

> amalfiさん
ありがとうございます。
サプライズな1食で、思い出になりました。
オットには感謝です。
そう思うと、歳をひとつとるのもまんざらイヤなことでもないです。
来年はどこでいただけるのやら、と…

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