2018年7月14日(土)
ツアーに於ける本日の予定。
『ユングフラウ鉄道でユングフラウヨッホ展望台へ』『世界遺産に指定されたアルプス最長のアレッチ氷河の風景などをお楽しみください』
そーいうスケジュールになってまして、クライネシャイデック駅からこの電車に乗るAM 8時30分。
スイス登山電車を代表する路線なので早朝にも関わらず大人気。ほぼ満員状態で出発です。クライネシャイデック標高2061mからユングフラウヨッホ標高3454mに35分で到着できます。
道中、絶景を眺めながら登って行く・・・という路線ではなく、アイガーとメンヒという名山の山体に掘ったトンネル内を登って行きます。
そんなわけで、乗車中はひたすら「車窓より暗闇を眺める」状態です。しかし、発車後20分ほどで途中駅に一時停車します。
Eismeer駅。アイス・ミーア、独語で「氷の海」という名の駅です。
「5分の停車時間なので、氷原を見たら即もどってくださいね~」(添乗員女子さん)
へ?氷原?ワタシ、興味ないですケドみんな見に行くんですか?
停車場から通路が伸びていて、その先に大きな填め込み窓が3つ並んでいます。
「興味ないなあ」と思ったのは、山頂は雲がかかっていたので何も見えないだろうと思ったのと、電車に乗り合わせたアジア某国集団が窓に向かってダッシュして行ったから。
あの人達を掻き分けてまで窓際に近づくのは気乗りしないので。
せっかくだから、彼らが少ない窓を選んで覗いてみる。
雲があるけどまーまー見えてます。好天の日だったら迫力ある氷河が見られることでしょう。
アイスメーア駅のこの窓は何なのかというと、山腹に開けた窓です。乗客が、どんな世界に来ちゃっているか、認識させてくれるためかなあ?
「ここまでほぼトンネルだったから状況が解んないでしょ?ほーら氷河の裂け目、クレバスだよ。落ちたら死ぬアレ!」と見せてくれる乗客サービスでしょうか。途中停車することで高山に慣れさせる目的もアリかも。
現在の終着駅、ユングフラウヨッホ駅ができるまではここアイスメーア駅が終点でした。
それも1905年の話だというのも驚き。ここにバーやレストランを設置したのだそうです。
ああ、だからムダに広い空間なんだ!
更に10分の乗車で終点のユングフラウヨッホ駅に着きました。駅は地下にあるので相変わらず外界は見えません。3454mの高地に登って来た実感は皆無のまま、ひんやり寒~い通路を進みます。
出たところはカフェテリア。なんか、日本のどこかのスキー場のカフェテリアにさも似たり。
この施設、いろいろなスポットがあってやや複雑な構造です。勝手に見て回りたいところだけど、効率の良い回り方をしてくれるだろう添乗員女子さんに付いて行きましょ。
「まずはエレベーターに乗ってスフィンクス展望台です。標高はさらに上がって3571mになります」(添乗員女子さん)
トップ・オブ・ヨーロッパ。ロープウェイを含む公共交通機関の駅としては欧州最高地点にある、って意味でそう呼ばれます。
逆にクライネシャイデックを見下ろしてみるよ。画像真ん中あたりの集落。あれがホテルがあるクライネシャイデック。
ちょっとアップ化。しっかり目視できて楽しくなってきたぞ!
屋上に天文台付きの石積みの建物が。クラシックなカホリがするユングフラウヨッホ高地観測所。(1931年建設)標高3500mで大気汚染などの影響が少ない故に、精度高い観測が可能なんだって。現役ですし、観測員が常駐しています。
ああ、ユングフラウのてっぺんが~(涙)ガスがかかっています。スコーン、と晴れていたら文句ないのですけどね。
でも、クライネシャイデックでは雲が出ていたのに、思った以上の絶景が見られてホッとしました。今日もワタシの晴れオンナパワーは作動中。
スフィンクス展望台で堪能するべき絶景のひとつがコレ。アレッチュ氷河。厚さ最大900mもあって、西ユーラシア大陸で最大&最長の氷河です。
かつては4000m級の高峰を登り切った猛者だけが見ることができたアレッチュ氷河の絶景だったわけだけど、ユングフラウ鉄道が建設されたことで誰でも、ワタシでも、世界遺産の景色を目の前にすることができる。大正時代にそんな電車が完成していたと思うと、彼我の差はすごいわ。
ユングフラウ鉄道はほぼ真っ暗な山腹に掘られた穴を通っています。「絶景を見ながら登らないのね」と思いますよね。
世界遺産検定メダリストのオット曰く「トンネル式の鉄道にしたからこそ世界遺産に認定されたんだよ」へー。そーなんだー。
おかげで自然破壊が最小限に抑えられ、世界的観光地ながらいまだ95%以上の土地が手付かずで残されている。だから自然遺産に相応しい価値があるんだってさ。
魅力的な自然がいっぱいのスイスだけど、自然遺産認定されているのって「サンジョルジョ山」「地殻変動地域サルドナ」と、ここ「スイスアルプス・ユングフラウ・アレッチ」・・・の3件だけなんだね(2019年1月現在)
あのマッターホルンでさえ認定されていないのは手を入れすぎているから、ってことでしょうか。(↑画像はユングフラウの稜線)
スフィンクステラスの階段。スッカスカでこわ~い(汗)物を落としたら・・・ぜったい拾えない。
「アルプスの山々を訪れた芸術家や作家たちが多く題材にして、欧州のカルチャーに影響を与えた地でもあるというのも世界遺産の認定要素」(オット)
ユングフラウの絵画を見て「行ってみたーい」って人々は思ったのだろうなあ。それって、今でいうと「SNS映えするあの山行きたい」だろうし、アイガーを題材にした小説を読んで「どんな山か見てみたい」は「その場所の聖地巡礼したい!」と同じ感覚だったんだろうね。
スフィンクステラスを降りると、なぜか超高級時計屋さん。日本円で100万円、200万円クラスの商品も並んでいて、中心価格帯は80万円ってところか。「こんなところでこの値段!衝動買いしないでしょ?」…と思ったら、今にも買いそうなインド人カッポーがいて、世界は広い!と感じたわw
滞在したホテルスタッフさんの見解では「今、爆買いは中国人よりもインド人!」とのことよ。
さて、添乗員女子さん先導でユングフラウヨッホのナゾ施設を巡ります。ナニコレw
どうやら、ユングフラウ鉄道完成100年を記念して、ユングフラウとその周辺地域の歴史を紹介する「アルパイン・センセーション」というコーナーを通過している模様。
あ、ベルビュー・デザルプホテルの絵だ。今も100年前も変わらないんだなぁ。
この人がユングフラウ鉄道建設を企画したアドルフ・グイヤー・チェラーさん。実現不可能と言われていた山岳鉄道だけど「アイガーとメンヒの山腹にトンネル掘ったらイケるんじゃね?」とピカッと閃いたというエピソード。おかげで世界遺産になるんだものね。
16年の工期の間には、爆発事故があって死者が出たり、ストライキや資金難。なによりチェラーさん自身が亡くなってしまった、という事態だったのだそーです。それらを乗り越えて完成しましたとさ、めでたしめでたし。・・・そーいうコーナーでした。
引き続き、添乗員女子さんに引率されて「アイスパレス」ってこれまたナゾな施設へ。
足元、ツルッツルです!こんな危険なアトラクション(なのか?)よく作るな、ヲイって感じです。
コレ、氷河を彫刻してお見せしています!ってコーナーです。なんでまた大事なアレッチ氷河を削って・・・って思うんですケド、1934年に始まった施設だそうですから。まー、そーいう時代だったんだろうね。
今はライブカメラでユングフラウヨッホの天候状況を確認してから登れるけど、昔はわざわざ来たのになんにも見えない、雲だらけ!ってこともあっただろうから「これでも見てガッカリを埋めてネ」というご配慮から始まったのでは・・・というのは、全くのワタクシの憶測ですw(ちょうどサッカーワールドカップ中だったのでボールが氷結している)
氷河は年々後退するから、手すりの位置も付け替えるんだって。うっすら付いている円型の跡は以前の手すりの位置。
ユネスコに「現在でも95%以上の土地が手つかずの状態に保たれている」と評価されてるけど、見えない地下ではけっこういろいろやっちゃってますよねw
さてユングフラウヨッホ、最後のみどころスポットに来ました。
「プラトー」さっきのスフィンクステラスからぐっと下がったところの、広い広い雪原です。
ここからだとメンヒがより近くで見れます。・・・にしても、なんだこのアジア人率の高さ!
日本人じゃないアジア人で湧きに湧くプラトー。安定の大声はあの国の人たちだね^^;
まあ、ここは外だから大声でもいいけどさあ。
スイス国旗との撮影でごきげんな彼ら。ディアボレッツア展望台やマッターホルン周辺に比べて俗っぽい観光地だったな、ユングフラウヨッホ。
オーバーラント三山を見るなら下界でも十分だ。アレッチ氷河は感動的だったけど、二度目は無いな~、と思っていたその時。
ガチで本格派、マッチョなアルピニスト男子2名が、はしゃぐ観光客の脇をすり抜けて現れたんだ。今、まさに山から降りてきたところ!
(ワタシも含めて)軟弱な観光客が記念写真ではしゃぐ中、ピッケルやザイルなど、真剣な装備で4000m級の山と格闘してきたばかりの彼らは眩しかった!
「かっこいいね!写真撮ってもいい?」疲れているだろうににこやかなふたり。
「すごいね!今、降りてきたところでしょ?どこに登って来たの?」
振り向いて指差したのは、ユングフラウ。朝4時過ぎくらいに登頂を初めて10時30分の今、ここプラトーに降り立ったらしい。前の晩はメンヒスヨッホヒュッテという山小屋に泊まったと推測します。
ひゃ~。自分の軟弱ユングフラウ体験に比べ、なんとかっこいいことか。
彼らが降りてきたコースを見あげて思う。「雪山に登ってみたい。しかもスイスの」次回のユングフラウヨッホはソレか?(笑)せめて、彼らが泊まった山小屋に行く、というのをやってみたいなあ。(その山小屋はド素人でも行けるそうです)
ユングフラウヨッホ駅から真っ暗なトンネルを走る電車で下山です。午後はツアーを離脱してオットとふたりで独自トレッキングの予定。