比良山荘/繊細で美味。山のめぐみ@滋賀県/大津市
2021年5月某日
〈記録メモ〉花山椒鍋おまかせ 30000円×3、瓶ビール800円×2、東北泉/瑠璃色の海1800円×2、不老泉 2000円×2、萩乃露 2300円×2 +サ(15%) 15570円、+税 11937円 合計131307円のお支払い
これはお店に行って実食してみたい!…ということで、比良山荘の夕食をご予約。今回は大阪住みのムスメも出動です。
比良山荘は、まーまーな 田舎 郊外にあります。 熊だの猪だのを出すスタンスがナンチャッテでもなんでもなく、リアルに感じる周囲の環境。山の恵みを食べさせてくれる店の予感がします。
ここまでのアクセスも決して簡単ではなかった。我らはJR堅田駅から予約のタクシーという方法を選びました。タクシー運転手さんは、ずんずんと山の中に入り込んで行きます。
30分の乗車で到着した比良山荘の佇まいは圧倒的でした。風格があるだけでなく、雅さも漂います。
表通りの様子からでは窺い知れ無いのですが建物内部は相当に広く、そして丁寧な増改築がなされています。(改築して5年とのこと)
通してくださったお部屋がコチラ。お庭がバーンと美しく、テンション爆上がりです。
これは、おいしくて美しい料理がいただける予感120%
どくだみ茶で始まる「花山椒鍋おまかせ熊&猪コース」30000円(ひとり)
どくだみのあの香りがモロにするのだけど、まったくイヤな感じはなくて不思議と口中がすっきりし、意識がクリアになったぞ。我が家の庭にはびこるあいつらも有効活用してやろうかしら。
尚、比良山荘のコース料理はシーズンにより価格が変わります。(比良山荘公式HP)
花山椒鍋コースは、山椒が花を付けるこの時期だけの提供です。蓋つき器の八寸にカタクリの花が乗っている演出。
蓋を取ったら…う、うつくしい。
右上から反時計回りに「鮎のなれ鮓」「菜の花」「独活の木の芽和え、黄身酢かけ」「地たまごの味噌漬け」「鯛の子」「もろこ南蛮漬け」「こごみ」「猪のロースト」「こしあぶらとたらの芽の天ぷら」
鮎のなれ鮓がイイ感じの発酵具合でたまらーん。人生初なれ鮓のムスメは困惑顔でしたが^^;
猪のローストはほんのり柚子の香りがして、しかも柔らか。
最初の瓶ビール(キリンラガー800円/1本)を飲んでいたのはここまで。ささ、日本酒日本酒~
180㏄(1合)でこの価格はもちろん割高だけど想定内。
お食事中いただいたのは東北泉 瑠璃色の海 1800円×2、不老泉 2000円×2、萩乃露 2300円×2。
尚、我が家は和食にはワイン、シャンパンよりも日本酒派なのでスルーですが、メニューに鮎や熊さんの絵が付いているのがかわいい。「熊におススメ、鮎に合います」のメッセージですって。
お造り。「鯉」(最奥)「鹿たたき」(左)「琵琶ます」(右)
山や川が描かれた絵皿に、山の物と川(淡水)の物を盛付けるセンスよ。
鯉には酢味噌。泥臭いことなどない鯉、うまうま。
琵琶鱒は琵琶湖だけに生息する固有種。海に棲む鮭と違ってアニサキスの危険がないからお刺身で食べられる。うまうま。
鹿のたたきは濃厚で、レバーのような味わい。周囲に飾られた花や野草も食べられるんです、と。山人参のかわいい白い花はほろ苦く、口直しになるわ。うまうま。
リング状の野草は虎杖(いたどり)。酸っぱい味で面白いや。スカンポ(酢模)とも呼ばれる意味が分かったわ。で、からすのえんどう。これも我が家の庭で勢力を誇る軍勢なのだけど、食べられたんだ!豆の味がして意外と旨いw
稚鮎の塩焼。5月だからこそのサイズ。今シーズン初鮎喰いです。
絶妙な塩加減。カラッとした焼き上がりが完璧なので、頭からバリバリ行けます。肝の苦さも嗚呼うまい。手前の口直しは生姜か?と思ったら筍の千切りでした。
うなぎ筒焼き。関東人なので、日頃は開いた蒲焼タイプばかりを食べています。
筒状の中に実山椒を射込み、手前には花山椒。はらはらと山椒の葉を散らすという山椒三昧。味は蒲焼たれ風ですがヌメリがある食感。こーいう食べ方、新鮮です。
旨い旨い言いながら食べていたら、テーブル天板の中央部が外され、七輪がすっぽり収まる穴が出現。
特注品というこのテーブル。デザインが優れているだけじゃなかったんですね。仕込み杖のようだわw
熊&猪の花山椒鍋の具材を携えて、店主さまが登場。店主さま直々に鍋のお世話をしてくださいます。
素敵だなあ、春の山野のめぐみたち。筍、山独活、蕨、クレソン、芹、そしてカタクリの花が目を引きます。
主役の熊肉さん登場。美しい!この白くて豊かな脂がおいしいんだよね。
「花山椒鍋」の命名通り、山盛りの花山椒。山椒の葉も別途、小山を成しています。
野草類に熊肉に山椒たちを按配よく鍋に仕立ててくださる。我ら客は只々、箸を進めていけばよくて極楽です。
第一弾はたけのこ+たっぷりの花山椒+熊。「月の輪熊の肉です。どうです?脂がクリアでしょう?」(ご主人さま)
スルスルと口に入る熊の旨味に唸ります。しかも、鍋の出汁のおいしさは異常。お取り寄せしたの時も悶絶の出汁だったけど。
「お取り寄せも同じ出汁です。ベースは昆布と鰹ですが、甘めに感じるように仕上げてあります。でも砂糖、みりんは使いません。使うのは蜂蜜です。ずーっと上品な甘さがつづくのは蜂蜜。」(ご主人さま)比良山荘の鍋出汁は香りも豊かだし、ホントに美味しいのだ。
「11月~3月の熊の猟期に仕留めた熊の肉です。春の冬眠後の熊は痩せているので美味しくないのです。熊は罠で捕るのは禁止なので、基本ライフルですね」(ご主人さま)熊さん、命頂戴します。ありがとう。
途中、スタッフ男性に鍋担当がチェンジ。そして、肉もイノシシに変わりました。3人とも、脂の良さを比べたら熊!で一致。でもイノシシさんも美味しいですよ。肉質が変わってまだまだイケます。
鍋の合間に「熊の赤身焼き、金山寺味噌」が挟まる。「赤身は匂いがあるし、ローストでは脂が重い」がムスメの感想。うん、一理ある。鍋の前に出さずに中間に出すのは意図があるかな?
そろそろ終盤。〆その1に栃餅。ジャガイモではありませんw お取り寄せセット(月鍋)にも栃餅が入っていたなあ。甘い出汁に栃餅の密やかな苦みが合うんだ。
〆その2は細目のうどん。おいしい汁をすべて吸い取ったうどんはネ申。
比良山荘は宿泊も可能なのだけど、現在はコロナ中につき食事の営業のみにしています。(画像右手、2階が宿泊用客室)大人気の比良山荘です。コロナ禍でも夕食用の1階5室は今夜も満席ですって。
京都や東京に、第2のお店を出す等の予定はないのですか?と、ご主人さまに敢えて伺ってみました。
「鮒も鮎も松茸も、この1店舗に必要な量を確保するので一杯一杯です。」中途半端な第2店舗を出す考えはありません。まあ、次世代がどうするかは分かりませんが、と苦笑いされました。
(蕗の薹シャーベットと桜餅あいす。塩味と甘味のコラボ)
この山奥の地でしか用意できない食材をここでお出しすることに意義がある、と仰るご主人の誠実な姿勢に、おおいに頷く我らでした。
「美味しかった」しか言いようがないのがもどかしいですが、美味しかった!接客や設えも大満足。時間と費用を掛けてまでここに行く価値がありました。また違う季節にも行こうっと。
〈記録メモ〉花山椒鍋おまかせ 30000円×3、瓶ビール800円×2、東北泉/瑠璃色の海1800円×2、不老泉 2000円×2、萩乃露 2300円×2 +サ(15%) 15570円、+税 11937円 合計131307円のお支払い
★★★★☆4.46 ■夏の鮎・冬の熊鍋が長年人々に愛され続けている、料理宿「比良山荘」で四季の風を感じる。 ■予算(夜):¥30,000~¥39,999
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