御宿 富久千代/酒蔵オーベルジュという極楽(施設編)@佐賀県/鹿島市
【前の記事より続き】
2021年6月4日(金)
佐賀県を旅してます。今夜のお宿はコチラ。
佐賀を代表する…いえ、日本中にファンが多い日本酒、鍋島。蔵元の富久千代酒造さんが直営のオーベルジュを始めたのが今年(2021年)5月のこと。同3月には、お食事処「草庵 鍋島」がこの古民家内に先行してオープンしています。
場所は、佐賀県鹿島市の肥前浜宿という古くからある宿場町。周囲には200年を超える古民家や蔵が点在し、この宿の建物も「築200年です」とスタッフさんは仰る。
築200年が納得の外見ですが、引き戸を開けると中はコレ。漆喰の壁が白く眩しい。丁寧に修復された建具が新しくもあり、伝統的でもあり。オープンしたてなのでお祝いの胡蝶蘭がイッパイだよ。
「元は醤油蔵を営む建物でした。廃業後そのまま朽ちそうになっていましたが、富久千代酒造で購入して修復したものです」というお話をレセプションで伺う。てか、このカウンターって酒を搾る槽(ふね)ですよね?ステキー!
画像左手の格子戸の中が宿泊エリア。長ーい通路が写っていますが、奥に進むと草庵鍋島のカウンターが現れます。宿泊客の夕食はそこで。ゆえに酒蔵オーベルジュという括りの宿です。お食事処の草庵鍋島は宿泊者以外も利用できます。
格子戸を開けたら宿泊者の玄関。尚、このお宿は1日1組限定。今日泊まるのはワタシとオットの2人だけ、というわけ。(1組最大4名。高校生未満不可、1泊2食ひとり55000円(税込)~)
※2022年3月追記:宿泊料金は変更されています。公式HPにて要確認です
お玄関をあがるとリビング。醤油蔵時代の太い柱や梁がそのまま使われています。
建物の躯体をいじることなく、おしゃれな建材と欧州家具を組み合わせることで、見事に生まれ変わっています。
国の重要伝統的建物群保存地区にある物件なので、修復条件が非常に厳しかったそうです。たくさんある制約を守りつつ、ここまでのリフォーム。ド素人が見ても、苦労が偲ばれます。
吹き抜けの天井。屋根の茅葺きが内側から眺められる仕掛け。これは見事なオブジェだ!今や、茅葺き作業を請け負ってくれる人も限られますよね。吉野ケ里遺跡の茅葺きを受けた職人さんに来てもらったそうです。
リビングにはコーヒーマシーンや冷蔵庫あります。
坪庭。建物の中だけでなく、庭も完璧に美しいわ。
カフェテーブルがある一角からは、同じ坪庭を別角度から愛でることができます。贅沢だ。
最大の贅沢空間はこの部屋かも。第2のリビング?ライブラリー?オーディオルームでもあるよ。
センスあるヨーロッパ家具。どれに座ろうか~。座り心地がいろいろ。気分や時間で居場所を選ぶ。楽しいゾ。さらに、ロフトへつながる階段が部屋の奥に。
階段を上がるとベッドルームその1。
芸術的な茅葺き屋根の編み込み模様が目の前。屋根裏部屋風なのもいいなあ。「ベッドルームはもうひとつあります。どちらでもお好きな方を」(スタッフさん)
ロフトからライブラリーを見下ろす図もステキで、このベッドルームもいいよね。ほぞ穴がいくつも並ぶ梁。200年前の大工さんの作業の跡なんだよなあ。イタリア高級椅子と違和感なく同居しているわ。
もうひとつのベッドルームがコチラ。
床の間、床柱、欄間。古民家の味わいを生かした空間で、こっちもイイなあ。
水回りが近いのでこちらのベッドルームを使わせてもらいました。
水回りは廊下の先まで歩くよ。そうだ、昔の日本家屋では水場は居間から離れた所に設置されていたんだよね。
廊下の先に洗面台その1。ガラス戸の枠がステキに昭和。でもカランは最新。
トイレ、ちゃんとキレイ。窓枠が昭和で痺れる
尚、トイレはリビング近くにもう一ヶ所あるよ。

水回りはレトロだと困るので、まるっとイマドキ洗面台。
ドライヤーだってダイソンなんだ。
アメニティは必要な物は一通り。保湿バーム、女性用にエマルジョンなども。入浴が楽しくなるバスシュガーもね。
お風呂の他に、シャワーだけのブースも用意。(左の扉)
もちろん温泉ではなく、大きさも家庭のお風呂と変わらない。
入浴しながら小窓を開け放つと、ちょうど中庭が視界に入るの。よくデザインされているわよね。
ワタシの思い過ごしかもしれないのだけど、お風呂へ入る扉。アルミサッシの無粋な質感を隠すため、外側にナンチャッテ木枠を後付けしているのでは?雰囲気を壊すパーツはできるだけ排除、という美意識かも?と思ったり思わなかったり。そうだとしたら凄いこだわりだわ。
意外なレイアウトで驚いたのが、茶室まで付いていること。リビングからアクセスできます。
一棟まるまる利用できます、と言われてもさすがにこちらには足を踏み入れず、眺めるだけでしたが。
自宅に茶室。あったらいいな、の憧れですよ 

富久千代酒造の蔵元さんは茶道をたしなまれるそうです。
そういえば…レセプションの脇に古い陶器、金継ぎされた陶器、発掘された物かな?と思われる割れた陶片などが並んでいたわ。蔵元さんはお茶碗ズキかもしれません。これは、夕食の器が楽しみだぞっ。
鍋島のトートバッグ貰っちゃった。わーい!
青線から下部が宿泊者専用エリアですから、かなり広いスペースを最大4人で独占できるのね。
(避難経路図を基に間取り図を自作しました)
200年生きている梁、柱。彼らが発するエネルギーを感じます。
明日の朝になった時「ああ、この部屋から帰りたくないなあ」と思うだろうと分かっちゃったよ。
【つづく:草庵 鍋島の夕食】
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