2021年6月4日(金)
銘酒「鍋島」でファンが多い
佐賀県鹿島市の日本酒蔵、富久千代酒造さん。
すでに予約が取り難くなっていますが、1泊ゲット。今夜は築200年の古民家に泊まって、鍋島三昧の
和食ディナーをいただきます。
見事な一枚板のカウンターです。おっしゃれっ。これが築200年の古民家を修復した空間とはね。「アフリカ産のビブンガという木です」(スタッフさん)尚、
レストランだけ利用も可能なので、今夜は我らの他、ディナーのみの方もご同席。定員は6名です。食事のみの場合22000円(税込)~
食前酒、望月みかんと鹿島産甘夏をブレンドした柑橘ジュース。器は柿右衛門だっ
ドリンクメニュー。これ以外にもワイン等の対応も可能でしょう。我らは鍋島おまかせ2合目安でお願いします。
いつもならば好き勝手に飲みたいのでペアリングは避けるのですが、ここなら何があっても鍋島が出てくるのだし、今夜は蔵元さんがお酒のサーブをしてくださるというのだから。いろいろお話を伺うチャンスです。
蔵元さんはいつもいらっしゃるわけではないと思うのですが、今晩は幸運。
画像は、唐津産あわび(蒸し)オクラと枝豆ジュレ。うーん、初夏だね。
鮑の肝の裏ごしと有明海海苔のソースが添えられ「鮑をディップしても、まるごとかけてしまっても」という趣向。鮑が分厚いカットで気前イイです。一番海苔を使った肝ソースは鮑つける用途無視で直に食べちゃってもオイシイなあ。
最初の酒は、発泡性あるにごり酒。繊細なエッチンググラスで。(たぶんバカラ)2杯目は特別純米。片口が唐津の中里太亀さんの作品だ。太亀さん好きでワタシも持っている作家さん。酒、料理だけでなく、器もいちいち見逃せない。
2品目。有明海の真名かつお唐揚。高級魚真名がつお、良い塩梅の脂です。鹿島のとうもろこしは甘く、サクッと食感。酢橘を搾り、昆布塩で。
3品目。椀物。漆器にうっすらと霧をかけるという、涼し気な演出。初夏でしたからね。
椀だねは竹崎蟹の真丈。ほわほわの真丈で、蟹の内子が入っているの。オレンジの宝石はこってり濃厚味。出汁の濃さも香りもパーフェクト。一片の柚子皮の香りに、最後にとどめを刺されました。でらうまっ
「明治時代の輪島塗です」(蔵元さん)黒い椀だけど、見返しは朱で鶴。親の見込みにまで波の蒔絵が施されているなあ。素晴らしいお品。アンティークの塗椀も美味しいお料理が納まって喜んでいるようだ。
お酒3種目。酒器は唐津焼だわ。渋い絵唐津の徳利も、作家ものに違いない。
4品目はお凌ぎ。有明海海苔、蒸した糯米、炭火焼のどぐろ、新生姜の千切、という鬼ウマい組み合わせ。海苔を折りたたんで手に持って食べるのですって。
嚙りつくとのどぐろの脂がじゅわ~んと染み出てくるのが分かる。それをこぼさずに受け止めてくれる糯米と海苔。有明海の海苔ってホント、芳しい。
5品目お造り。料理長が目の前で作業を見せてくれるライブ感。草庵 鍋島のすばらしいお料理を作るのは西村氏。1993年生まれだよ。各自で引き算してネ。
5品目。石鯛は少し寝かせて昆布〆。星がれい、北海道産ばふん雲丹。
左はたまり醤油。右の小皿はポン酢&新玉ねぎの霙。佐賀って玉ねぎの生産量が北海道に次いで全国2位なんだよ(←ムダな豆知識)ポン酢に玉ねぎか加わると甘さとコクが増すし、佐賀を感じます。
6品目もお造り。あおり烏賊と天然シマアジの炙り。穂紫蘇の下で識別しにくいですが「海苔醤油がかかっています。有明海の海苔を焼き、鍋島の酒で溶いて練りました」(料理長氏)
お酒5種目。3年熟成の純米。「甘口」と表記されたこの熟成酒は一般には売られていないそうです。
7品目は刺身の後の口直し。青い器に真っ赤なフルーツトマト。夏空と太陽のように映えます。濃厚で力強いトマト。「トマトから抽出したジュースと鍋島でサッと煮て冷やします」とか…。お手間がかりの逸品でした。
6種目の日本酒。添えられた片口に釘付けになるワタクシ。蔵元さんに「こ、これなんていう方の作品ですかっ?」好みのツボ過ぎ~。『
なかがわじねんぼうさん』よれよれの文字でメモりました。
茶碗やお皿。所有過多は家族に迷惑だからもう買わない、と誓ったのだがなあ。「時には唐津に買い出しに…」などと考えながら、目の前の料理長のライブを凝視しています。美味しいものが繰り出される現場をこの近さで見れるって、楽しい。あ♪うなぎ…
8品目。「有明海、天然の海うなぎです」と料理長氏。そんなレアな鰻をいただけるのネ。佐賀であってもレア中のレア。料理長氏自ら、海鰻ひと筋の漁師さんの元へ通いつめて分けてもらっていると。「九州のいい食材を食べていただきたく、食材探して毎日車で駆け回っています」と仰る。
鍋島に来るまでは都内の名
和食店、博多のミシュランフレンチでお勤めだった料理長氏。都会の有名店では納入業者経由で食材を手にしていたけど、ここでは自分の足で生産者、農家さん、漁師さんと繋がりを作って買い付けなくてはならないそうです。現場を目で見ることで勉強になります、と熱量高い!
そうやってゲットしてきてくれた海うなぎ。皮はパリリッとした食感で脂が濃い。養殖鰻のもったり脂とは別物。海の生き物を食べてるからこの味の濃さなのか?!
「ごちそう」とは御馳走。食材が簡単に手に入らなかった昔々。人をもてなす食材集めには、馬を駆って奔走しなければならなかった事に由来すると聞きます。
草庵 鍋島の料理長氏は、まさにその御馳走をしてくれているのですねえ。ありがたい。
「方言が難しくて(笑)鰻漁師さんのところには毎週行っていますが、初めは蔵元社長に通訳をお願いしました」(料理長氏)
※盃3品がまたもハートにブッ刺さり。
今泉今右衛門です、と蔵元さん。欲しー!
お料理は9品目に。食材により変動しますが、コースは13品前後で構成されるそうです。「今日は12品出ます」まだまだ続くよ~
佐賀牛と白茄子の煮物鉢。鍋島の酒粕などを食べていただき、再肥育した経産牛。久留米の農家さんが作る白茄子。生産者が少なく、希少品種なんだそうです。とろとろのお肉と茄子。実山椒がアクセント。合う!
10品目の器もうっとりする蓋つき椀。
すっぽん出汁の沢煮椀。千切り野菜が多種類たっぷり。軍鶏の玉子が中央に。途中で崩していただきます。すっぽんは九州で養殖が盛んですね。
11品目で〆のご飯に到達。土鍋で炊いてくれたんですね。
桜海老と万願寺唐辛子の炊き込みご飯。桜海老は当然静岡ですが、万願寺唐辛子は宮崎産、お米は佐賀県嬉野の有機米。佐賀や九州の良い物で喜んでただきたい、という料理長氏の信念は最後まで貫かれていました。
桜海老独特の風味と万願寺唐辛子の青い香り。胡瓜ぬか漬けの小皿が気になる~「400年前の皿を金継ぎしました」(スタッフさん)と。金継ぎでステキに蘇っています。
12品目にデザート。藻塩とミルクの練りたてアイス。伊万里の桃と柚子の花で作ったシロップのジュレが下部に敷かれています。そこに鍋島の古酒をかけたのだ。スイーツに興味ないワタシですが、しょっぱくで華やかな香りいっぱいのアイスは記憶に残ります。
うまいうまい言うてたら、おかわりくれたwこれだけのお料理を、料理長氏はたったひとりで作っておられるそうな。ひとりで丁寧におもてなしできるのは6人までという判断で、草庵鍋島は6名定員になっています。たとえば、オーベルジュに4名が泊まる日は、食事のみのゲストは2名までしか予約できません。
日本酒も最後。デザート酒として「鍋島 特別純米 愛山」
「鍋島おまかせ2合目安 6000円」で出されたお酒たちが、最後の舞台挨拶のように並んでくれました。実際は9種なのであと2本いますが。でも提供量は2合なんてものでは・・・3合以上?たっぷり下さったので6000円は安過ぎです。冷酒で出してた後、料理によっては燗酒にして飲み比べ…とか。提供のスタイルが丁寧です。
ごちそうさましたら、即そこに客室があるのもオーベルジュのありがたさ。
あの内容と満足度で税込22000円って最高じゃない?首都圏価格と比べるのは間違いだけど…などなど頂いた料理を反芻しながら、購入した鍋島で酒盛り。(蔵では酒の販売をしていません。
レストラン利用者とオーベルジュ宿泊者は3本まで購入できます)
アフターコロナの世になったら、ここ予約とれなくなる予感。美味しかった!おやすみなさい。
草庵 鍋島 (肥前浜/割烹・小料理)
★★★☆☆3.13 ■予算(夜):¥20,000~¥29,999
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