肥前浜宿さんぽ&富久千代酒造蔵見学@佐賀県/鹿島市
【前の記事より続き】
2021年6月4日~5日
オーベルジュである御宿富久千代は『重要伝統的建造物群保存地区』に建っているので、周囲には修復と保存作業を施された古民家が点在。
昭和初期には13軒の酒蔵があった町だそうで、そんなところから「酒蔵通り」と命名されたストリートに面しています。町内は散策にちょうどいい感じです。(現在は富久千代酒造ふくめ3蔵が操業中)
酒蔵通りと並行して背後に川が流れています(浜川)むかしむかし、酒の出荷が船頼りだったころは、ここから酒樽を船積みしていたのかも。
酒蔵の煙突が2本。画像の中島酒造は1650年創業の最古蔵だけど、すでに酒造りを止めている。これは醸造していた頃の名残の煙突だけど、いい雰囲気に一役かっていると思う。(代表銘柄「君恩」は唐津の鳴滝酒造から桶買いして販売)
浜川沿いを歩いていたら、古くて急傾斜な石段に遭遇。
今や両脇の住宅に挟まれているけど、相当古そうな石積です。「お城かなあ?」
『事比羅神社』でした。讃岐の金刀比羅宮を祀っている?この宿場町が海運で盛んだった時代があったことがうかがえるなあ。
酒蔵通りに戻って、元郵便局。今は公民館だけど、明治~昭和初期は最先端の通信拠点だったのだろうね。地方に行くと、当時の大工さんが、少ない情報とイメージだけでなんとか洋風に寄せて造った郵便局に出会います。
ワタクシ、肥前浜宿に来るのは2度目。2006年「重要伝統的建造物群保存地区」に文化庁指定されたのですが、2011年に訪問した時は、たいして修復も整備もされていない、古いだけの町だったなあ。
以下3枚は2011年1月の肥前浜宿の画像。
茅葺き屋根であることに価値があることは分かる。分かるけど・・・
これを修復するのって相当に費用がかかるだろうし…なんとかなる日が来るのかな?…というのが10年前の感想でした。
手前の古民家は修復済みで見映えするけど、隣家の土塀は剥離して危険では~?さらに奥は保護用ブルーシートが破壊しているんですけどダイジョウブ?・・・って印象だった10年前の酒蔵通り。
現在もフツウに住民が暮らしを営んでいますし、ストリート全部が歴史的家屋という町ではありません。観光地化して、作り物っぽい町並みとは違うのが個性かも。肥前浜宿の保存プロジェクトはまだまだ続くのだろう。
さて、御宿 富久千代とそれを営む富久千代酒造。ともに肥前浜宿の中にあります。コチラが富久千代酒造入口。
富久千代酒造では蔵見学を受付けていません。蔵での酒の販売もしていません。(特約店さんとのお付合いを大事にされているからだと思います)
代わりにこのギャラリーを造ったそうで、ここまでなら一般人も入れるそうです。ただし試飲もやっていませんのであしからず。
元は精米所だったという場所がオシャレで雰囲気ある空間になっとる。出来上がった2016年に、インテリアデザイナー協会とやらの大賞になったのだそうですよ。
古い精米所の土塀や梁をオブジェのように見せる修復。
さて、この先が日本酒鍋島の製造現場なのですが、一般人立入禁止。でもオーベルジュ宿泊者は特別に案内していただけるのです。(蔵内は撮影禁止なので画像は無し)
蔵見学の後は素敵なミーティングルームにご案内。ここで鍋島の試飲をいただけるというのも、宿泊者の特典です。
商談だけでなく、普段は蔵人さんたちのランチルームになったりもするそうですよ。
アンティークの有田焼かなあ。重ねた盃に七福神の絵。女性のワタシに弁天様を下さるというご配慮。いたみいります~。
一枚板の大テーブルにて鍋島をいただきながら、蔵元さんと奥様にオーベルジュ開業の思いを伺いました。「小学校近くにあって子供たちが入り込んで危ない廃屋がありました。それがあのオーベルジュの前の姿です。7~8年前のことです。」(奥様)
「誰も管理できないのなら、町の景観と安全のためにもうちで買って修復しよう」というのがそもそも。この時は宿を経営するつもりなどなかったのだそうです。修復を始めてみると、文化庁の制約も多いし補助金があってもとても足りない。それでも、外観を200年前のまま修復という事業をやり遂げます。
そうなって後「この建物を何かに生かせないか」と考える中で、思い至ったのがオーベルジュだったのだそうです。「御存知の通り、蔵では見学も試飲も受付けていません。コロナ前は海外からわざわざ蔵を訪問してくださる鍋島ファンの方も。大事なお客様をおもてなしするにも車で1時間の佐賀市内まで行くしかない場所です。肥前浜宿でおもてなししたり鍋島をより知っていただくのには、食事とお酒。そこに宿もあったらどうだろう…」そう決心したのが2018年。試飲をいただきながら、そんな話を伺いました。
それから3年経て2021年5月に開業。まだ始動し始めたばかりですが「佐賀の肥前浜宿にステキなオーベルジュあるよ」と評判になれば、地域への貢献に繋がりますね。
浜宿の交差点に建つ全面白の建物も「傷みが激しいので富久千代酒造で買い取って手を加えました」(スタッフさん)目立つ交差点ですからね。傷んだ建物じゃない方がいいですね。いつか、ここも何かに変身するのかも?ちなみに隣、玉ノ香の煙突があるのは飯盛酒造さんで、富久千代酒造の本家筋にあたるそうです。今では酒造業はやっていなくて、お酒も置く小売り店。肥前浜宿で鍋島を買える可能性があるのはこちらの飯盛酒造の店舗だけです。(ただし品揃えは限定的)
2011年のIWC、インターナショナルワインチャレンジ(wiki)でゴールドメダリストになって以来、日本だけでなく世界からも注目される日本酒になった鍋島。鍋島の知名度と文化庁の後押しの相乗効果で、世界中から肥前浜宿に人が集うようになったらいいですよね。すべてはコロナが終わってからですが、今後がたのしみです。
【つづく:御宿 富久千代の朝食】
佐賀県の鹿島市にある「肥前浜宿(ひぜんはましゅく)」は、歴史的な町並みが残り、古くから酒造りが行われてきた地域です。この記事では、実際に肥前浜宿に住んでいる地元
- 関連記事
-
-
御宿 富久千代/朝食編@佐賀県/鹿島市肥前浜宿 2021/09/27
-
肥前浜宿さんぽ&富久千代酒造蔵見学@佐賀県/鹿島市 2021/09/22
-
御宿 富久千代/酒蔵オーベルジュという極楽(施設編)@佐賀県/鹿島市 2021/09/13
-
祐徳稲荷神社/キツネにつままれる?@佐賀県/鹿島市 2021/09/10
-
吉野ケ里遺跡/弥生人の声聞こえたよ@佐賀県/吉野ケ里町 2021/02/21
-