2021年12月某日
2021年もいろんなお店でうまいもん喰いました。「こにゃくう家 出逢えてよかった店アワード2021」があるとしたら、この日に伺った
割烹 茂幸はその一軒かもしれません。(
茂幸公式HP)
最寄り駅は東京メトロ千代田線の代々木上原駅になるのでしょう。または京王線幡ヶ谷駅。いずれにしても、およそ割烹料理店があるとは思えないフツーの住宅地の只中にお店はありました。
「道中が分り難くはありませんでしたか?」と恐縮される大将と女将さんに迎えられてカウンターに着席。実際、大将が育ったご実家を改装してオープンしたお店なのだそうです。隠れ家的でイイと思いますよ。
現状はカウンター8席だけの運営。この日はワタクシとオット含め、6名のお客様。今後、奥に個室を用意する予定とのこと。今夜は、おまかせ16000円(税サ別)での予約です。(食材によりお値段変わります)
まずは食前酒。12ある盃からひとつ選びます。美しい塗の盃たちでうっとり。
12の盃を収める桐箱も、つい二度見してしまう美しさ。この桐箱は、アーティストさんに店の様子を描いてもらった物とのこと。庭には実際に椿、梅、松や竹が植えられているらしい。左上部を見れば、まさにこのカウンターの図である。ステキだ~
ついつい自分の誕生月にちなんだ盃を選んでしまう。最初の一献。柚子酒を頂戴します。
生ビールはありませんので、黒ラベルの小瓶を。(お値段知らない)
螺鈿使いの梅が美しい塗椀だわ。霧が吹きかけられ、これだけで美味しい予感…
「蒸し鮑です。ソースは小豆と梅をベースに」(大将)説明を伺っただけでは味の想像がつかない個性的な品から始まりました。
そして白いのは根芋(白ずいきより若い物)んん…過去に食べたことが無い味の展開。甘くないぜんざい?いや、梅が加わることでそれ以上に複雑な味。シャクシャク根芋と、くにゃっとした鮑の食感も楽しいぞ。
最初の一品目から印象深いお料理の登場だったなあ。食欲・期待共に爆上がりです。茂幸さんは日本酒ラインナップも我が家寄り。まずは上喜元の純吟を。
2品目は香箱蟹。丁寧に解体された香箱蟹さんたち。ここまで分解するのって、時間がかかるし大変なのよね。(ウチではオットの仕事であるw)
梅酢漬けの菊花ほか、内子、外子、ボディ、足、とパーツごとに分けた美しい盛付け。部位ごとに食べたり、組み合わせて混ぜ混ぜしてみたり。
内子がいっぱい!12月までが漁期の香箱蟹。そのままで十分美味しいのだけど、添えてくれた生姜入りの蟹酢がすっごくいい味。「薬膳では、蟹は体を冷やすといいます。そこで、温める作用の生姜を」(大将)なるほど。
3品目はとらふぐのしゃぶしゃぶ。通常は薄切りにする河豚を、あえてぽってりした厚切りで。むっちりした食感の河豚に仕上がるのですね。薄造りとはまた別の良さ。
ポン酢ジュレの味わいも上々です。しゃぶしゃぶにする出汁には河豚ヒレを使ってヒレの香りもプラスしている、という丁寧な作業。
日本酒2種目。鶴齢ひやおろし。織部の酒器がワタシのドストライク

もしかしたら澤克典さんの作品ではなかろうか。
4品目。めじ鮪お造り。めじは本鮪の幼魚です。脂はのり切っていなくてサッパリ系。食感なめらか。
「手前から赤身、中トロ、大トロと並べてあります」と大将。辛味大根(京都から取り寄せ)、もみ海苔。醤油だれが絡むと、サッパリしためじ鮪にメリハリが出ました。
奥の椀の物、手前の串に刺さる切身はワイの好きな冬の食べもんや!楽しみだなあ・・・。オープンキッチンのカウンターだから丸っと見えるのです。こちらのカウンターはなかなかの低さだ。
5品目蕪蒸し。コレコレ~。ワタシにとって冬のごちそうは蕪蒸し。霰に切って散らしてあるのはバチコ。
フウフウしながら崩していく。中から百合根がころりと。他に豆腐。「下にある豆腐は先ほどの河豚のアラから取った煮凝りをミンチ状にして合わせてあります」(大将)なんて手間が掛かっているんだ!
美味しいのでお酒が止まりませんっ。次は伯楽星にしましょ。
6品目さわら西京焼。冬の鰆はおいしいもの。マイ寒くなると食べたくなるお魚ランキングNO1。
粒味噌とほんの少しの酒と味醂で漬けてある。(大将)素揚げした葱、生で青々とした九条ねぎがたっぷりとトッピング。塩味がひそやかなので、香ばしさとピリッとした辛さが合う。
7品目。茶碗蒸しのような…「柚子白菜」と仰ったかと。折敷がチェンジされて大徳寺盆に。
下に白菜があるので混ぜ混ぜ。甘味が強いオレンジ白菜です。柚子はたっぷり。
8品目の破壊力よ。わーい!と盛り上がるワタクシとオット。2人分の品々が引き出し付きの二段重に収まっていました。
上の段。海老芋と堀川牛蒡。それに銀杏の揚げ物。京野菜うれしいな。
下段の引き出しには芹と法蓮草の胡麻お浸しと菊花のポン酢和え。
ほっくほくでねっとりした海老芋。土の香りが強い堀川牛蒡。銀杏は大粒だ。冬の美味しい物をこんなに麗しくプレゼンしてくれたら、他の季節も気になるな~
日本酒も4杯目。ステキな弥七田織部の片口。やはり
澤克典さんのかな~?大将に確認していないから不明だけど。
5杯目の日本酒。ぺんぎんは澤さんの織部にお見掛けするモチーフ。心に刺さった器は買いたくなるのだけど、これ以上食器を増やさないことを誓ったので買えません。こうして、好きな作家さんや素晴らしい器でいただく食事時が最高にシアワセ。
次のお料理が出るまで、とオマケでくださった。たくあんじゃないよ、唐墨!大将、ありがとうございます。茂幸の大将は、はじめましての客であっても秒でリラックスさせる雰囲気を纏っておられる。飲食店店主として最強のキャラクターだと思います。
9品目カキフライ。添えてあるタルタルソースが秀逸なんです。
花山椒を使ったタルタルソースだと仰る。「昨シーズン、コロナで花山椒が残りました。それをタルタルに使ってみようと」(大将)これが外食の醍醐味のひとつよ。プロの技による未知の食との遭遇。
花山椒タルタルはザクザク食感。’牡蛎を揚げた料理’に昇格しているわ。ソースやフツウのタルタルソースであったなら、カキフライはカキフライだ。
10品目かやくご飯。
ちょこっとだけいただきます。残った分はお持ち帰りさせてくれるから、無理して食べたら勿体ないかな、と。
11品目白子フライ。驚くことにまだお料理でた^^;白子、大好き!てか、これだけ出て16000円って安うない?
いや…これで終わりではなかった(汗)土鍋で炊いたご飯はもう一種。
12品目あわび、ずわい蟹、しらす、クレソンの土鍋ご飯。うまくてやっぱり食べてしまう!
最後のデザートに到達したようです。摺りガラスのクープに何かのシャーベット。そこに炭酸系の液体を注いでスカッシュのように仕立てる。(ワタクシ、デザートになると記憶がなくなる病気ですw)
茂幸さんは陶器だけでなくガラス器もステキ。漆器の丸盆を併せるセンスよ。このスプーンも良いセンスしてらっしゃるわ。(欲しい)
我ら以外のお客様はリピーターのご様子でした。わかるわー。お料理のレベルの高さ。高すぎないお値段設定。日本酒のラインナップ。大将と女将さん、そしてスタッフさんの雰囲気の良さ。これは再訪ケッテイ。
オープンは2020年4月だったそうです。コロナの最中に、このような良店が爆誕していたのね。人気店になる予感。(もうなっているかも)ごちそうさまでした。
<自分のための記録メモ>おまかせコース16000円×2、瓶ビール×2+日本酒×5=8000円(たぶん)/サ10%4000円/税10%4400円=48400円のお支払い。飲食店に於けるサービス料とはナニか?茂幸さんのような居心地よい空間の提供には10%払う意義があると思う。
割烹 茂幸 (代々木上原/割烹・小料理)
★★★☆☆3.13 ■予算(夜):¥15,000~¥19,999
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