(注)3時間の長い散策でした。ついでに記事も長いです。お時間あればお付き合いください
2019年8月25日(日)
エアーズロックサンライズ鑑賞とカタジュタトレイル散歩を終えて一度ホテルに帰着。ここからはフリータイム。時間はまだAM11:00よ。さあ、午後はどこに行こうか?
バスチケットはホテルレセプションで購入できます。『ウルル往復49ドル』チケットを買ったよ。12:35発のバスで、もう一度エアーズロック(ウルル)に行こう!
HOP ON HOP OFFバスは本数少ないながら便利だし、レンタカーより安く済む。そして時間に正確な運行です。ただし、月ごとに時刻表が変わるのでHPでの確認は怠りなく。
注意書きが運転席上部に掲示されていたよ。エアーズロックに登るなら戻りはMALA CAR PARK発17:05が最終便だからね、と訴えています。15:05に登山口に着いた人が17:05に間に合うように下山するのは人によってはギリギリだと思う。うーん、乗り遅れて地獄を見た観光客がちょいちょいおるのだろうな。コワーイ(汗)
ふたたびのエアーズロック。昨日の登山は楽しかったよ、ありがとう。今日は貴方の麓をぐるりと一周、歩いてみようと思うんだ。
定刻13:20にMALA CARPARK着。ああ、昨日の登山の達成感を思い出すなあ。今日も登山者が果敢に挑んでいるじゃないかー。(
過去記事:エアーズロック登頂記)
登山口オープンは1年に3割しかない確率の低さ。風が強いとクローズ、雨が降るとクローズ、気温が高すぎてもクローズ、アナング族の儀式の日も。「3日も待ったのに結局登れなかった」などの体験談をよく見聞きします。なのに!今もゲートが開いているぞ。登ろうと思えば、今すぐもう一度楽しめるよ、どうする?オットとかなり悩みました。でも、山麓一周もしてみたい。いろんな角度から見上げるウルルがどんなか知りたいよ。
2回目の登頂も捨て難いが、アナング族は登って欲しくないと言っている。一度登ったのだからもういいではないか。それに自分の足のコンディションを探ると、昨日の登頂で酷使したからか大腿四頭筋(太ももの前)が微かな筋肉痛。ウルル登山は安全の為にもパーフェクトなコンディションが望ましい。登山は見送った方が賢明かも(涙)をを、キミたちはこれから登るのか?グッドラック。
後ろ髪引かれつつも、山麓一周歩きに出発!きっとこっちも楽しいよ。
BASE WALKコース(オレンジ太線)3~5時間、10.6㎞FULLコースを時計回りに行きます。整備されたトレイルで平坦だからお気楽散歩の10㎞。(13:30にスタート。ゴールは16:30でした)
スタート地点から始まるのは「MALA WALK」。マラ族に因む跡があるらしいよ。現在のアナング族の先祖と言われる昔の人々とか。
1.イジャリジャリの穴-Itjaritjariku Yuu
ウルルの動物、植物のお話、マラの伝説スポット等がトレイル上に現れる。まずは「Itjaritjariku」イジャリジャリというモグラが掘ったトンネル?
『Malaの人々が住み始めるよりずっと前から住んでいたモグラ』で、カンガルーみたいに有袋な種なんだと。今も地中に棲む。てか、この岩の穴を「モグラが掘った」は伝説でしょう。こんな浸食の仕方をすることもあるんだね。
2.男性たちの洞窟-Kalpi Watiku
モグラ穴のような浸食もあれば、前方の浸食なんてちょっとした棲み処になりそうな洞窟じゃない?彼らは自然にできたケーブを利用して生活していたのかなあ。
The men's cave。成人男子たちが焚火を囲ったり、狩りの道具を作った場所なんだね。女性は立入禁止だったのだろうな。
大きくえぐれるように浸食したケーブだ。相当数の男子が集合できそう。ここに集まって男同士の話をしたり、情報交換したり、狩猟テクニックの伝承をしたりしたのかな、と妄想。人間はカルチャーや時代が変わっても同じようなことをするのだな。わちゃわちゃと男子が集合しているイメージかしら。
併せて、伝説が掲示。『ウィンタルカ族の男たちがやって来て、マラの人たちを儀式に招待した。けど、マラは自分たちの儀式中だったから中止できなくてお断りする。怒ったウィンタルカは悪魔犬を送り込んで来て襲われた。生き残った人は南に逃げた』ザックリですがこんな伝説。マラ族が居なくなった原因を悪魔犬(他の族が襲撃?または持ち込まれた伝染病?)に例えているのかなあ。(ワタシの勝手な想像です)
3.撮影禁止エリア‐Mala puta
マラ‐プタは女性のための聖地ですが撮影禁止。同様な撮影不可なポイントが時折現れるので注意が必要です。▼マークより右側一帯が禁止なので左端ギリギリを撮りました。(右端にも▼の看板があるので、左右の看板に挟まれたエリアが撮影不可)
4.キッチン・ケーブ‐Kulpi Minymaku
ここも広々洞窟。『The kitchin cave』か。面白そう。女性たちは食料調達のためブッシュへ出かけ、ここに持ち寄って調理した食事を分け合っていたそうです。共生社会だったのですね。
中央の盛り上がった岩が調理台だったらしい。他よりはやや平らな場所かも。
解説を読むと、現代人のように家族単位で生活するのとは違ったようだ。男性は男性同士で洞窟に集まる。女性たちは子供と共にかたまって暮らす。お年寄りはお年寄りグループのケーブがある。役割ごとに分かれて暮らしていたように読み取れました。
ケーブ(洞窟)は野生動物から身を守れるし、大勢で寄り集まって安心感を得ることもできる。強烈な日差しから逃れてホッとできる場所でもあったのかも。
なんか…壁画?みたい。そうか。洞窟は文化伝達の場所でもあるのか。何を意味する絵か知りたいなあ。オージーのガイド、M嬢が一緒だったらいろいろ教えてもらえただろう。
5.カンジュ渓谷‐Kantju Gorge
渓谷と名付けられている通り、トレイルから外れて奥に入り込みます。滝の跡がありました。
今は水の筋しか見えてないけど、一旦降り出すとこの崖を水が流れ落ちるのでしょう。(それでもすぐに水流は止まっちゃうらしい)
NO SWIMMING。そう注意書きが必要なほど、きれいな水が溜まる季節があるのだろうね。今は干上がっているけど、崖には水のラインがくっきり残っているもの。
崖の上、滝が落ちるポイントを見上げてます。そうか。大事な水はウルル(エアーズロック)の山頂から流れ落ちてくるのだから、この上に登ったりしたら水源が汚れるんだ。ウルルに登るな、は水質に関わる問題でもあったのか。今更気付いたわ。
6.ウルルの北側を歩く
さて、本道に戻って先に進もう。ここまではMALA WALKとして多くの人が散策する2km、1時間のコース。ここから先までも歩こうとする者はぐっと減ります。
計画的な野焼きの跡かなあ?落雷で火が出た?こうした火事の後は新たな芽吹きの切っ掛けになるし、燃えても再生する樹があるってガイドのM嬢が言ってたな。
おっと、再び撮影禁止エリア「Sensitive Site」に差し掛かったぞ。矢印▼は右方向を向いているから、看板より右を写してはダメなのだね。一見しても、何があるから写してはいけないのかが分からない。M嬢によると「部族の人たちだけで情報共有して、よその人には何があって何をする場所かは教えない」んだそうです。
エアーズロックをセグウェイで巡るツアーに遭遇したよ。テクテク歩く方が好きだけど、あれも面白そう。
MALA WALKまでは山裾に沿って歩けたのに、北面に来たらトレイルは山裾から遠く離されて敷かれている。エアーズロックは遠望する状態に。
北面は聖地が集中しているのかもしれないね。ほぼブッシュの中を歩くので、単調で心が折れかける。でもこうして歩くからこそ山肌を観察できる。面白い浸食をしているなあ。
単調なエリアはセグウェイでぎゅ~んとスルーできたら楽ちんだわね。今は冬だからOKだけど、真夏にこのトレイル完歩は覚悟が要るぞ。
アクシデントに見舞われた人用に緊急通報装置があったわ。一周10kmで、東西南北4ヶ所に通報システムが設置されていました。熱中症になる人もいるかもしれない。
日本語の操作ガイドも書かれていたよ。お世話にはなりたくないわね。
7.エアーズロック東の端‐Kuniya Piti
エアーズロックの最東端、Kuniya Piti に来たよ。ここまでで一周の半分。 Kuniya Pitiは撮影禁止エリアなので、東の端の全体像を撮りたかったけどこれ以上カメラを向けられず。
8.Kuniya Walk Carpark
お助け小屋があるぞ~。屋根!ありがたい。ずっとおひさまに炙られていたからね。久しぶりに日陰で休憩ですよ。ここクニヤ駐車場はHOP ON HOP OFFバスも停まる、拠点になる場所のひとつ。
エアーズロック一周歩きの見どころのひとつMutitjulu Waterhole(ムティジュルの泉)が最寄だからでしょう。うわわ~、滝だー。砂漠にオアシス。
では、水場に向かうトレイルを進もう。
前方の浸食が妖怪の口のように見えるのだけど。聖地でもなんでもないから、アナング族的にはコレは心に響かなかったのかな。日本人だったらナンチャラ岩と名前を付けて観光名所にしますが。
アナング的には、岩の割れ目ひとつにも意味があるんだって。クニヤ(良い蛇)とリル(毒蛇)の戦いの伝説があって、岩の亀裂はクニヤがリルの頭を棒で叩き割った時の亀裂なんだと。
日本人は割れ目よりも植物の方にフォーカスするね。こんな環境でも元気に育つ、ど根性ナンチャラとかネ。
9.ムティジュルの泉‐Mutitjulu Waterhole
トレイルを20分ほど入り込む。歩くほどにブッシュから森に変化。水場が近づいているのね。ほら、幹が白い木が現れだしたもの。「先住民は白い木を目印に水を探した。水場を好む木だから」ってM嬢が言っていたのはこの木のことだと思う!
泉だ!乾燥し切った砂漠の中で、水が貯まっていることが奇跡のように思えるなあ。
ムティジュルの泉にはデッキが設けられていて、そこから見下ろします。水辺には近づけない構造になっています。でも、砂の上に無数の足跡があるよね。誰?ズルして近寄った人間がいたの?
あ!違う。コレ、動物の足跡だ。夜のうちに、相当な数の動物たちがこの水場にやってきて喉の渇きを癒すってことか。今も動物たちのオアシスなんだね。夜、動物たちが大集結する様子を見てみたいなあ。
先ほどの良い蛇クニヤは毒蛇とのバトルで勝ったものの死んでしまい、ワナンピという蛇の神様に変身してこのティジュルの泉に住み付いている、と。おかげでここの水は枯れないらしい。実際、他の水場が干上がってもティジュルの泉は枯れないとか。今日だってわずかだけど溜まっているものね。日本との共通点があったわ。日本にも水の神に弁天様がいて蛇の姿よ。
10.ムティジュルの洞窟‐Mutitjule cave
泉に向かうトレイルの300mほど手前に洞窟が。狩りのトレーニングに来た若者が潜むのに最適な場所だったと。たしかに、水を飲みに来た動物なら割と簡単にハンティングできそうだ。
洞窟の中には謎のお絵描き。↑より上、傷のようにも見えるのが彼らの絵です。大勢のお兄ちゃんが集まったら壁に何か描くよね。○○参上とか。(たぶんチガウ)後輩にテクニックを伝える教科書代りかも?などと想像中。時代とカルチャーが違っても人間がやることは変わらないな…とまたも思うのです。
ぐるりと山麓を歩いてきて、ここで第4コーナーを周ったところか。アナング族が「ウルルは聖地だから登らないで」という理由が急にガッテンできた気がしました。ウルルが無かったら彼らは生存できなかったと言い切れると思う。
命を繋いでこれたのも、棲み処になる洞窟があったから。奇跡的に水が得られたから。水の恵みで植物が他所より多く、道具が作れたから。
動物が寄って来て狩りが可能だったのもウルルのおかげ。砂漠に居たら死んじゃうけどウルルに寄り添っていれば生きていけたんだ。だからウルルは父であり神なんだ。
※何かの哺乳類のウン〇が落ちていた。石の上に排泄するのは何かのサインかな?
ワタクシ、アナング族がウルル登山禁止を求める理由がいまひとつ分からないでこの旅行に来ていました。「民族のシンボルだから?日本人にとっての富士山みたいな」程度にしか想像できていなかったわ。生きるために必須の存在だったことが、麓を一周することで見えた気がいたしました。
間もなく、スタート地点のMala Carpark。遠望すると、ウルルから下山する人間が見えました。不届きな登山者にはウルルで用を足してしまう輩もいたそうで。ウルルに降る雨が水源であることを知った今、それはヒドイ所業!と思う。
ああ、下山者が点のようだ。そうそう、登山者の死亡事故もアナング族が心を痛めたことだと。画像に写る斜面。死亡者追悼のプレートが埋め込まれているのが見えます。
1962年~1978年の間に亡くなった5名の方。自分たちにとって神様である山から落ちて死ぬ人がいるのは耐えられないのだろうな。アナング族の人たちは穏やかでゆっくりした優しい人たちだから。
3時間かけたワタシとオットのウルル一周散歩は有意義に終わりました。ウルル様ありがとう。敬礼!
実に名残惜しいのだけど、Mala carpark17:05発最終バスの時間だよ。これに乗ってリゾートエリアに帰ろう。
この最終バスだけは特別で、展望台に立ち寄ってサンセットを楽しむ時間を設けてくれます。
昨日はツアーだから、スパークリングワインとスナック付きだったけどね。サンセットを堪能するだけなら、ツアーに参加しなくてもこのバスでお安く楽しめます。
もう一度、日没のウルルが見れてラッキー。ウルルはこうして遠望しているだけでは、恵みの山であることが全く伝わりませんね。山麓一周したからこそ見えてくる物がありました。(Mala WalkとKuniya Walkだけでも彼らのカルチャーを体感できるかも)
2019年10月にウルル登山禁止になった今、トレイル歩きだけでも十分ウルルを楽しめると思う。まあ、足跡を見たりするのが好きな人に限るかもしれないけど。
黄金に輝くサンセットとカタジュタのシルエットに遭遇。
カタジュタの神々しい姿。神の山だとつくづく思うわ。
2022年 クニヤウォーク - 行く前に!見どころをチェック - トリップアドバイザー
クニヤウォーク(ウルルカタ ジュタ ナショナルパーク)に行くならトリップアドバイザーで口コミ(132件)、写真(164枚)、地図をチェック!クニヤウォークはウルルカタ ジュタ ナショナルパークで7位(20件中)の観光名所です。
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