小判寿司/こんな所に名店!と言う勿れ@福島県/棚倉町
【前の記事より続き】
2022年4月9日(土)
お花見を兼ね、棚倉藩士だった先祖を追ってファミリーヒストリーの旅。夕食です。
町の寿司店を予約しました。「小判寿司」藍染の暖簾。キリッとしたエントランスです。(小判寿司公式HP)
あ、コレぜったい旨い寿司屋さんだ。清潔感と店主の気合が店先に滲み出ていますもの。店先の雰囲気って大事よね。
尚、店がある棚倉街道はこんな感じ。往年はこの道が棚倉のメインストリートだったのだが。
こんばんわっ。千葉から来ました、はじめましての客でございます。オットと2人、カウンターでいただきます。
鮨と肴おまかせコース紅で予約しました。14300円(税込)です。メニューには巻物+7貫のおきまり3300円(税込)等もあります。が、せっかくの訪問だと思うと内容充実のコースにしちゃうのは習性。(注:当記事アップ時、紅コースは税込15400円に変わっています)
肴の一品目。北茨城産のれそれ。こんな提供の仕方ののれそれは初めてお目にかかるわ。ポン酢も美味い。飲めるな、このポン酢w
早春の味のれそれも、漁期はあと一ヶ月ほど。「串から落として食べてくださいね~」(大将)店主様はおっかない職人タイプではなく、真逆のフレンドリーなタイプの方でありました。
肴の2品目。鯛白子の蒸し物に青さ海苔。これも春ならではの食材でうれしいな。
ぽってり、ぷっくりした鯛の白子。澄んだ出汁が旨いなあ。鯛の頭から取った出汁だと仰る。鯛アラを丁寧に下処理した末に抽出した出汁なのだと思う。
肴の3品目。刺身盛合わせ。ひらめ(常磐いわき産)は神経締め3日目。その縁側の炙り。富山湾の白えびは軽く昆布締め。釣り鯵(天草産)の包丁がキレイ。右手前は「いろんな海老の頭で作った海老味噌」だと仰る。すごいな。すべてひと仕事してある。
山葵と塩にこだわりが。山葵発祥の地である安倍川上流の有東木(うつろぎ)産。塩は「会津山塩。温泉から採れるのです」(大将)へ~。海塩と違う気が…(当社比)
肴の4皿目。西京漬けほたるいかの炙り焼。ありきたりな提供なんてしないんだね。味噌漬けのヨイ香り。焼くことでパリッ、ぶにゅっ、な食感もプラスされてイイな。
肴の5品目。北三陸洋野町産毛蟹。かに味噌ソースの添え方がお洒落であるな。
これも工夫がプラスされていて美味しかったなあ。出汁がきいた蟹酢のジュレかなあ?キラキラと混ぜ込んであって、その味で毛蟹ほぐし身が最強に。蟹味噌も旨いのに、ほぐし身と混ぜて食べるのが惜しまれたゾ。
肴の6品目。相馬産あんこう肝。鮟鱇肝に、刻んだ奈良漬が混ぜ込んである。濃密あんこう肝とシャキシャキ奈良漬が、食感的にも味わい的にも名コンビとは初知り。鮟鱇肝は冬だけうまいわけではなく、夏でさえ美味しいのだそうです。
肴の7品目。青森県産サクラマス塩焼。練った蕗の薹が桜の鱒と共に春の味。「桜鱒はヤマメが海に降りた物。縄張り争いがあるのでしょうね」(大将)そういったお話も楽しいカウンター席です。
この日の肴は以上の6品。ここからは握り寿司。大将がネタの準備をされています。
福島産日本酒が充実しているのでオットもにっこり。都内と比べるのもどうかと思うけど1合880円(税込)~は嬉しい。
福島県以外も好きな銘柄ばかり。肴よしで日本酒良しのこのローカル寿司屋さん。ワタクシが知った切っ掛けはグーグルマップです。
ある日、棚倉町のgoogleマップをクリクリして、先祖が住んでいた土地の現況やお城周辺の様子を俯瞰していたの。
棚倉街道を南下していったところで、『☆4.5/142件のクチコミ』のポップアップが。えっ?…マウスが止まる。棚倉なのに何だ、この寿司屋さん!(←失礼です)
そこから食べログやらトリップアドバイザー、よそ様の寿司ブログなどを検索→あの棚倉に名店ある!オットよ、次回の棚倉探検の時はこの寿司屋さんの予約ヨロシク!・・・となった次第。
ネットのおかげで出会えました。この日のお客様はみなさん地元の方ではなく、ネットの評判を知って遠方からいらした方々のようでした。オットは素早く3か月も前に予約してくれたのだが、マジ人気店なので直近だと思うような予約は通らないと思います。
「では、今夜はどちらかへお泊りで?」と、大将。そうです、大将。よくぞ訊いてくださった。ここでの食事が終わったら1日に9本しかないJR水郡線は、21:11郡山行き終電のみよね。郡山に泊まるにしても乗車時間は64分でしょう?酔いも醒めちゃうわ。
今夜は棚倉に泊まることにしました。ぶっちゃけ、棚倉町には泊まるに値する宿がなくて困りました。
消去法でルネサンス棚倉です。ホテルというよりは運動部の合宿や研修旅行用施設のようで、ムダに広い8人部屋に2人で寝る事態。ちょうど春休み。テニスU-17の合宿中で他に空室は無し。
『温泉あります』と謳っているけど、入浴時間15時~21時ですから修学旅行か?って感じよ。ここを失礼したらもう入浴時間終了しているわ。それで素泊りひとり8800円なのは複雑な気分です。…などと大将に愚痴る。大規模合宿にかち合ってしまったのだから仕方ないことですね。
さて、握りの部のはじまりよ。
最初は鹿児島県出水の天然真鯛。塩でいただくわ。真鯛白子蒸しの出汁をとったのも、この子から。
2貫目。愛知県産生とり貝。ぷにゅっと、生ならではの食感。
3貫目。塩竃産本まぐろ 赤身の醤油漬け。
4貫目。佐賀産こはだ。酢で〆て4日目。
5貫目。赤身だけど脂がある部位。腹の真ん中くらい、とのこと。
6貫目。はまぐり。プロのお仕事感じます。
7貫目。根室産ばふん雲丹。海苔で巻かないスタイル。鮮度〇
8貫目。秋田産鱚。包丁と鱚の表皮の綺麗なこと。パキッと食感。
9貫目。あおりいか。フツーにあおりいかでした。
10貫目。相馬産めひかり。握りにしてこのサイズ。大きい目光を、と特注しています(大将)
11貫目。対馬産穴子。半分にカットしてくれて、タレと塩の2パターンってうれしいな。
〆の玉子焼きも2パターン。芝海老のすり身入り玉子焼き、という変化球も。
品数もたっぷりでした。なにより手間のかかる下ごしらえと出汁と…を考えると、パクリと食べてはいいけないほどの時間をかけて仕込んでいるに違いない。素材選びも細部にまでこだわっている。
そう思うと、14300円(税込)は納得。むしろお得。ワタシのように棚倉に用事がある人はそうはいないだろうから、皆さんわざわざこの一食のために交通不便な棚倉まで来ているのでしょう。すごい吸引力です、小判寿司さん。
寿司は大将おひとりで握り、フロアとドリンク担当は女将さん。ご子息と思われる青年も一生懸命フロアで立ち働いておられます。今年で創業25年とのこと。地方に名店あり、です。おいしかった。ごちそうさま。
もしも、実家が今でも棚倉にあったならヘビロテできるのにな。再訪したいが、食事後の宿や移動を考えるとハードル高いぞ~。次回は宿泊先を再考しなければ。夜9時近く。ライトアップされた時の鐘で城下町気分。
美味しかった記憶を反芻しながら、棚倉城の夜桜を見て、 ショッパイ お宿に帰りましょう。
【つづく:山本不動尊へ】
<自分のための記録メモ>おまかせ紅コース14300円×2、生ビール マスターズドリーム715円×2、日本酒×いっぱい9790円=39820円のお支払
★★★★☆4.14 ■一貫に冴えわたる匠の技。福島の内陸で、手間暇かけた江戸前のもてなしと東北の酒に酔いしれる。 ■予算(夜):¥15,000~¥19,999
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