熊野古道中辺路 2時間さんぽ/伏拝口→熊野本宮大社@和歌山県/田辺市
【前の記事より続き】
2020年9月某日
ムスメ、オットと和歌山県熊野へ。本気で歩く時間の余裕は無いが、ちょこっとだけでも熊野古道を味見してみようよ、と。
熊野本宮大社至近のバスターミナルから、程よい距離のポイントまで運んで行ってもらおう。龍神バス81番発心門王子行きバス、便利です。便利だけどPayPay対応か現金のみ、しかもおつり出ない。交通系カードなど問題外。ほぼ現金レス生活が常態化しているものだから軽く焦りましたわ。(ご参考に:初めての熊野古道Q&A)
山中のバス停「伏拝口」で降ろしていただく。降りたのは我ら3人だけで、乗客全員が終点の「発心門王子バス停」まで乗って行かれた。発心門王子までバスで行き、熊野本宮大社まで歩く3時間コースがもっともポピュラーな熊野古道体験とのこと。
我らは2時間ほどの散歩として伏拝口→熊野本宮大社のショート版を企画。ちょこっとな熊野古道体験です。
バス停から熊野古道中辺路(なかへち)へ入り込むと、イッキにカントリーサイドの風景。地元の方の暮らしの道、農作業のための通路を「おじゃましまーす」って感じで進みます。
世界遺産登録以来、増えに増えた参詣者の為でしょう。肝心なポイントには道標が立っているのがありがたいです。ワタシのようにボーッと歩いていても「伏拝王子へ」の道しるべが導いてくれる親切設計。でも道を尋ねようにも通行人ゼロの状態なので、地図携帯は必須でね。
この辺りは、静かな里を歩くって感じ。中辺路(なかへち)全線38㎞。険しい山道が続く修行の道のイメージでしたけど、伏拝口→本宮大社ならば5Kmくらいのお散歩レベル。なんちゃって参詣体験に丁度よい。
尚、ほぼ人家の中を通過するのでこの辺りには休憩所等が無い。ここ、地図上では「お茶屋 大阪」って表示があるけどクローズのようだし。
幻の「お茶屋 大阪」隣接の空き地。正面のお山がかっこいい。『果無山脈』(はてなし-さんみゃく)身も蓋もナイお名前がついている。センターは三里富士。なるほど、富士山っぽいや。
説明板によると奈良-和歌山県境の1000mオーバーの連山だと。熊野古道の別ルート、小辺路(こへち)コースってあっち方面の山中にあるのだと思う。同じ熊野古道でも本格登山派向け参詣道とパンフに書いてあったっけ。ハードなルートなのだろうな。
ワタシにはこっちのお散歩コースがいいです。もうすぐ伏拝王子に着くかな。
バス下車後から歩き始めて約30分。伏拝王子前の「伏拝茶屋」に到着。
トイレあってコーヒー飲めます。ありがたや。道中はほとんど人と遭わなかったけど、ここに来るとまーまーな人が休憩中。要になるポイントのひとつだものね。
ところでさ、伏拝王子ってナニ?土下座する王子さまかしら。「この上がその跡地らしいよ」(オット)
えっと…よく分からない高台。『丘の上にある伏拝王子から谷間を望むと、山々の重なりのかなたに大斎原が見える』『和泉式部がここから大斎原を伏拝んだと伝えられる』『京都を出発後、約12日かけてここに到着した』とパンフさん。ふーん。なるほど。
たしかに。ここからの風景と山々の重なりは圧巻だと思う。でも、大斎原どこ?「真ん中で白く光っている所とちゃうか?」(ムスメ)今日の行程の最初に行った、巨大鳥居を探します。
望遠最大にしてみる…アレちゃうわ。廃車置き場?工場?…みたいに見えまつw 大昔は今ほど樹々が育ってなくて大斎原まで見えたのかしら?
平成4年当時の皇太子殿下いらしたよ、の記念碑がありました。王子だけに。
里の風景から変わって、伏拝王子から先は林の中の山道。おお、熊野古道っぽさ出て来た~
「あと30分くらいで、スタートした熊野本宮大社に着くと思う」(オット)
「三軒茶屋跡」歩きやすく整備された山道で楽しい。三軒茶屋はハードな熊野古道、小辺路との合流点でもあります。
なので、茶屋をイメージしたようなデザインの休憩所&バイオ・トイレ完備。江戸時代は茶店と九鬼ヶ口という関所があったそうな。関所を通過。
『ちょっとより道』と消極的なアピールの看板現る。やや疲れてきて、さっさと本宮大社に着かないかな、と思っていたワタシはスルーしたかった。が、オットが強めの主張。「ちょっとだから行ってみようよ」
いや、この分岐点は大きな意義があったわ。疲れに負けて、この『ちょっと』をスルーしてたら一生の不覚だったかも~(←大げさ)ご覧いただきたい。この先の光景を。
大斎原の巨大鳥居。そして後方の熊野川。あの鳥居の奥に広がる森の中は元々の熊野本宮大社があった場所だよね。
「うわわ~」3人でどよめいちゃったわ。伏拝王子ではまったく見えなかった大斎原。ここで遠望できる仕掛けだったのか!この感激を和泉式部は体験したのかな。そりゃ、伏して拝むわ。分かるー。
熊野古道ではなく、近年整備された展望台なのね。夕暮れ時ですか。ソレ美しいだろうね!てか、『ちょっと』はやはり自己主張無さすぎませんか?気付かない、または疲れて寄る気にならずスルーしちゃった人って絶対いたと思うよ?奥ゆかしさか。ネタばらししたくなかったのかな。
このNEW伏拝王子が今回の熊野古道さんぽでもっとも印象深かったスポットでした。感動して疲れがブッ飛んだわ。
熊野本宮大社の先代宮司さんがあそこまで巨大な鳥居を企画したのはナゼか?と不思議だったのだけど、もしかしたら…遠望した時にインパクトを与えるなら突き抜けたサイズでないと。高さ34mだからこそ人々は伏して拝むんや!と考えた…とか?などと想像しながら石畳を下る。熊野古道といえば石畳もマストアイテムね。
ぐいぐいと軽快に下っていたら、杉林が途絶えていきなり車道に出た。「ポイッ」と現実に放り出されたかのような妙な感じ。太陽の光が妙に眩しいや。
出口の前。何だろ?遺跡のような。「祓殿石塚遺跡」(はらいど-いしづかいせき)平成29年に見つかった新発見遺跡で『江戸期とみられる石塚』『参詣者たちが道中安全などを祈って積み上げた石とされる』的解説。今でも意味不明に小石を積み上げるアレと同意義かしら。日本人は昔から自然発生的にやっていたのか。高さ1.3mってちょっと驚くわ。(2018年わかやま新報記事)
すぐ右手下方に住宅地があるしね。中世気分も、もうここでお終い。
ただいま現世。
熊野本宮大社界隈のにぎやかさが、遠くても気配となって届くあたり。『祓殿王子』(はらいど-おうじ)が最後のポイント。『大斎原まであと数100mの地点で最後の潔斎をする王子』ということらしい。
中世の参詣者たちは12日も山の中をドロドロになりながら歩いて来たわけだし。最後に神様の前に出る時はピッカピカに整っていないと失礼かも、お願いきいてもらえないかも、ということかしら。
12時のバスに乗って参詣開始。熊野本宮大社リターンは14時15分でした。「ところでさ、王子王子って。おうじってナニ?」(ムスメ)だよね。教えてグーグル先生。『もとは古道近くに住む住民が土地の神様を祀っていた神社だった』『熊野詣が大ブームになった平安時代にたくさんの王子ができ、熊野三山に向かう途中の王子で儀式を行ったり、舞などを奉納した』
…解説読んでもピンと来ない。街道沿いの神社が、道の駅的な役割もしていた、とかそーいう解釈でOK?『江戸時代、熊野詣の衰退と共に王子社も消えていきましたが、紀州徳川家が街道整備のために王子跡に石碑を建て旅の道しるべとしました』…なるほどね。ふと気づいたそこは、2時間ほど前にいた八咫烏ポストの前。まさに一周廻って来た感。
滝尻-本宮大社間 中辺路ルート約40㎞のうちの、ほんの5㎞の熊野古道体験でした。
【つづく:熊野三山コンプリート】
はじめての熊野古道 なかへち Produced by 龍神バス
熊野古道を紐解くと、見えてきたのは紀伊半島の火山噴火!?そんな歴史も踏まえて、「熊野古道っておもしろそう!」と思っていただける内容をギュッと詰め込みました。はじめて熊野古道を歩く方に向けて、準備する服装・持ち物、おすすめのコース、歩くための注意点など、さらに、何度か歩いた方にも、楽しんでいただけるよう絶景の写真スポットや四季折々の植物なども紹介しています。歩くたび新しい発見ができるのが熊野古道。「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界文化遺産に登録された熊野古道の魅力をお伝えし
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