2022年12月某日絶賛コロナ中の2021年に出会った割烹 茂幸。数か月おきですが季節を変えて来店し、今日で4回目。(茂幸公式HP) 茂幸は大将のご自宅が店舗です。おや。今夜は店先が華やか!
茂幸さん、ミシュランガイド東京2023で星獲得です。お祝いに届けられた胡蝶蘭で盛り盛り。
2023年新たな星付きレストラン18軒のひとつになりました。大将、おめでとうございます。ま、当然と思いますケドね。
(ミシュランガイド公式)
茂幸さんの開業は2020年4月。コロナ真っ最中でした。2年と数か月で☆獲得です。てか、ミシュラン審査員来るの遅いわ~。
なんだかワタクシ&オットも嬉しいです。たまーに来て食べさせてもらうだけの、細っそ~い客がナニ言ってるって話ですけど。
まずは食前酒の提供。12か月をモチーフにした盃から好きなひとつを選ぶところから茂幸の夜は始まります。
12月に相応しい、雪華文様の盃に柚子の酒。京都象彦の作品はデザイン秀逸だなーと思います。
さて、今日はどんなお料理がいただけるのかしら。ビール飲みながらカウンター内を観察。大鉢に蕪の炊いたんが出番を待つ。どんなお皿で出てくるだろう。(生ビールは無く、瓶のみ)
1品目:香茸の茶碗蒸し。
名前通り、強い香りを放つきのこ。ちょっと見キクラゲのようですが、時に料理屋さんで遭遇する食材です。茶碗蒸しに閉じ込められた香茸の香りは圧倒的。干した香茸を戻して使っている、と。
玉子部分の工夫が茂幸だな、と思う。クロタケ、しめじ、えのき、マッシュルーム。多彩なきのこのピューレを茶碗蒸しにした、と。まるで、たくさんのキノコを一度に頬張ったような風味の集合体だ。呼吸するたびに鼻腔に抜けるキノコの香りに「ほわ~っ」ってなる料理でした。
もうビールを飲んでる場合じゃないので日本酒にいくよっ。最初は鶴齢 純米吟醸。
2皿目:とらふぐ刺身 。手前はからすみととらふぐ薄造り。おろしたからすみの量が気前イイ。
奥の品にも一捻り、二捻り。河豚のあら身を低温調理して、梅の煎り酒と白菜、菊花の和え物。トッピングは河豚の皮を干して揚げたチップ。からすみではコックリ。梅煎り酒では酸味を。色彩も味のバランスも抜かりなし。
日本酒が飛ぶように消費されていき、2種目は月山 純米吟醸。
今日の茂幸も酒が進むな、とカウンター上の素敵な赤絵の大鉢を眺める。盛られているのもマツタケで素敵だ。アレ、出てくるのかな・・・
丁寧に丁寧に手で裂いている。そういう作業もまるっと見える。作り手との境界線を低く造っているカウンター。調理工程に興味を持つ人なら目が釘付けになると思う。ワタシ、いつもガン見してますゴメンナサイ。
甘鯛といっしょになって登場した松茸さま。3品目 甘鯛と松茸の椀。蓋を外したら、出汁の香りと松茸の芳香で仰け反った。そして甘鯛の脂ったら。
ぐじ(甘鯛)は一番出汁で炊く。一度ぐじを出してそこで松茸を炊いて・・・ふむふむ、単純に作った椀ではないのね(←あたりまえ)
要するに土瓶蒸しをちゃんと作ったみたいな椀?とド素人に分かり易く洒脱におっしゃる大将である。松茸の魅力が活きている。ただ松茸をスライスして椀に入れるような店との違いよ。
4品目:香箱蟹
これは、次の料理用としてプレゼンしてくれた香箱蟹。11月上旬~12月下旬だけが漁期の、メチャおいしいズワイのメスです。ちっちゃい個体なのに、丁寧に捌いてパーツごとに分けてあるや。
そのままでも美味しい香箱蟹に、ひと手間かけるのが茂幸。「(パーツを)混ぜた方が美味しいと思うんですよ。」手際よい作業が見える。
手前には、捌いたままのパーツ。内子と足の身。菊花と生姜酢をかけて。後方に、外子を含むパーツを混ぜたもの。春菊と菊花と酸味仕立てのジュレでまとめて。2WAY楽しめた。さすがです。
日本酒3種目。酒一筋 純米吟醸
5品目の準備が展開されています。この角皿が登場すると焼物なんだよ。鰤の炭火焼が仕上がった。
5品目:ぶり大根。塩焼ぶりだけど、鰤&大根だから。「ちょっと違うけどぶり大根w」(大将)
寒くなると美味しくなる鰤と大根。最強のペアです。じゅわっと鰤の脂。受け止めるのは柚子が効果的な大根おろし。旨かった。
6品目:湯葉と辛味貝割れ。蕎麦に見立ててある。「混ぜながらツルッといっちゃって」(大将)出汁も飲めるw
7品目:野菜の八寸。小引き出し付きお重に2人分が収まって、お野菜だけの料理たち。茂幸のプレゼン力よ。
栗の春巻き。海老芋の唐揚げ。マロングラッセのように甘く仕上がっている栗の春巻き。海老芋は塩味のみで山椒由来のたれでしょっぱく。甘辛のバランスをとる。
下段。引き出しの中は、えのきと水菜のおひたし&ずいきの田舎煮。(ずいき:里芋の茎を干した乾物)
箱膳から出して銘々盆に移す。動物性たんぱく質や高級食材なしでも、満足度高い品々を作ってみせる技術の高さ。
8品目:岩牡蛎のフライ 花山椒のタルタル。去年、初めてここでお目にかかった料理。再会できて嬉しい。花山椒たっぷりのタルタルソースで食べるフライ、という斬新なアイデアです。
去年よりも心なしか粗目の花山椒。ざっくりザクザク食感だ。岩牡蛎の貝柱が大ぶりで、帆立貝柱かと思うほど~
日本酒4種目:尾瀬の雪どけ 純米大吟醸。「この酒は裏貼りも読んで欲しい」と酒バカオットが言います。ナニコレ。♯クラスの一軍女子ってどゆこと?
9品目:真鱈白子と蕪。冒頭、カウンターで出番を待っていた大鉢の蕪は最後にここに。雲子は鮮度よいし、出汁もワタシのどストライク。
山盛りの京都鷹ヶ峰の葱が嬉しいな。シャキシャキで香りが強く、辛味も利いている。雲子にこの器(雲の柄)なのは偶然ではないよね、と心の中で拍手を送る。
10品目:土鍋で炊き込みご飯を2種。この〆ご飯でコース終了。毎度たのしみな土鍋ご飯。
土鍋ごはんA。絹さや、人参、牛蒡、舞茸のかやくごはん。
土鍋ごはんB。銀杏、栗、このこ。
今回のミシュラン。大将にとっては通過点のひとつで、想定内のことだとお察しします。でも心なしか、本日の料理の創意と工夫はいっそう冴えわたっていたように思います。いや、いつも冴えてますよね。スミマセン。
最近多い、一斉スタート方式じゃないところも好きな点。早い時間の予約にすると、ほぼ大将との会話独占が可能。菅野イズム、伺えますわよ。(残ったごはんお持ち帰り。自宅で思い出しつつ食べるおにぎりは別のウマさ)
他所様より多めに日本酒を飲む夫婦が2人で好き勝手に飲んで約51000円のお支払い。都内でこの内容でこの価格。ブラボー。今後ミシュラン効果で予約取れない、お値段変更…になるのかな、どうかな。
茂幸 (代々木上原/割烹・小料理)
★★★☆☆3.54 ■予算(夜):¥10,000~¥14,999
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