2023年2月某日
都内、代々木上原の茂幸さんへ。丁寧なお仕事と完璧な技術でお気に入りの和食店です。
(茂幸WEBサイト)前回12月の訪問時、2月の予約をした際に大将が仰った。「2月の献立は普段と変わります」と。通常は8~10品のコース料理がお約束の茂幸さん。しかし、食材が枯れる2月は変化球でと言うことらしい。「アラカルトでなんでも出しますよ。何か食べたい物があったら仰ってください」(大将)
へ?なんでも、って…なんでも?洋食とかカレーとかでもいいの?…という会話をしたのが12月のこと。「いったいどんな茂幸が展開するのかなー」オットと楽しみにしてやって来たこの日です。
ハイ、メニューこちら。いつもはお品書きが無いお店です。居酒屋のように料理がぞろぞろ書いてあるぞ。
ここに書いてある料理、どれをオーダーしても、何品食べてもお値段いっしょなの?ほんまかいな。そりゃ、食いしん坊で貧乏性のワタシですから片っ端から喰っちゃいますケド大丈夫?
「1品ずつは少量ですから、好きに選んでいただいてOKです。」(女将)おけー。ガンガン行くぜ。(オット&ワタクシ)
尚、最初の3品(茶碗蒸し・向付・椀物)だけはおきまりの品が出ます、とのこと。
この「ほぼほぼ食べ放題居酒屋企画」の茂幸スペシャルナイトですが、ブロ友のふわりさんも偶然別の日に体験されていたことを
ふわりさんのブログ記事で後日知りました。ふわりさん、本格派割烹店が繰り出す居酒屋メニューは格別でしたよね。
おきまり3品の(1)茶碗蒸し。河豚と白菜。「下から混ぜ混ぜして食べて」と。スタート時に酸味が際立つ茶碗蒸しって食欲中枢刺激されます。何で酸味を出しているだろう?梅か?と考えているうちに茶碗はカラにw
おきまり3品の(2)お造り。鮪とくえ。ポン酢はとろみがついていて絡みやすいな。常のコースで茂幸さんはお造りを出さない。切っただけを提供するのでは料理屋の料理ではない、と大将。我々にも同じ理念を述べられましたよ、ふわりさん。
おきまり3品の(3)椀物。椀だねはぐじ。御覧の通り脂のってます。細工が凝った椀妻も美しい。あれ?こういう正統派お椀も通常は出されたことないよね?トラディショナルな椀は茂幸では初めてよ?(柚子皮で松、牛蒡で竹、人参で梅を表現していたとふわりさんの記事で知る)
ここでオットがつぶやく。「あーあ。冬枯れの2月だからこうした企画というのもあるけど、もうひとつはお弟子さんのトレーニングの為かもね」なるほど。料理屋さんの基本訓練ということかしら。そして、アラカルトをばんばん発注された時の動きとオペレーションの特訓兼ねて、ということ?(想像ですけど)
おきまり3品がおわったところで、選択した小鉢料理たちが提供されました。右、ポテトサラダ。左、アカモク酢の物。茹でたポテトの原型が分からないほどマッシュされて、マヨソースでとろとろ状という見たことないポテトサラダ。アカモク酢はアカモク酢だったw (出汁は割烹店の三杯酢)
ふわりさんのブログ記事にて「(こにゃくうは)何をチョイスされたの?」と返信コメントをいただきました。ふわりさーん、以下、ワタシとオットチョイスの品々をご覧ください。笑えることに、ふわりさんと被る品のなんと多いことか!
オットもふわりさんと同じく芋がら田舎煮を選んでいましたよ。これは過去にもコース内で食べました。
このからすみ餅。秀逸でしたよね、ふわりさん。
からすみ様が目の前に。お高いのにそんな厚目に切っていいんですかー?
ふつうのからすみ餅は、餅の中心にスライスしたからすみが内包されているのに、このからすみ餅ったらからすみスライス2枚を以て餅を挟んでいるという、逆サンド状態。都合2枚のからすみが頂けちゃう^^
あわび肝とお米。お米とは所謂おこげ。しょっぱい鮑の肝をおこげで中和しつつ、日本酒をコピコピするツマミ。
筍 唐揚げ。から揚げとはちゃうな。素揚げにした筍の品あるヤツ(←語彙力)
オットチョイス芹のおひたし。オットは逸品ものカテゴリーからもろこの南蛮漬と乾き物炙りもオーダーしたはず。ワタクシ、食べるのに心を奪われ画像がないやw
茂幸さんが作る出汁巻玉子に興味あるわぁ。当然、西スタイルの出汁がきいたタイプ。スタートメニューの逸品カテゴリーからは以上。ふぅ。まだまだイケる。(ワタクシ5品、オット6品)
海鮮ものカテゴリーに行くでー。「鰤の焼き霜くださーい」(ワタクシ)サッと表面を炙った鰤に相性よい大根おろし。とろんとトロみがついた醤油出汁のタレが纏めてくれます。
ふぐ白子焼。大きい河豚白子だこと。炙った表面はパリッで中はとろん。たれにとろみが付いているのがイイの。
次、蟹クリームコロッケくださいっ(ワタクシ)
洋食屋の蟹クリームコロッケより蟹の含有率が高い。身がいっぱい入ってるのだが。
オットは喜知次の酒蒸しをお願いしていた。(きちじ。きんきの別称)鮮やかな水色の器に喜知次の赤い身が美しいなぁ。
皮目が炙ってあって仕事が細やか。旨味出ていそうなお皿の様子。オットは海鮮カテゴリーから河豚の唐揚げと牡蛎の磯辺焼の計3点をお願いした、と本人の記憶。ワタクシ、自分の品を食べるのに集中し過ぎたか?撮ってない(涙)
割烹である茂幸さんのカウンターにおでん鍋が据えられている光景がめずらしい。これはおでんもいっとこう。丸大根、えび真丈、糸こん、がんも、玉子、ぜんまい、筍、かに面…というラインナップ。貴方ならナニを選ぶ?
オットと相談して選択した品々を2等分して出していただく。丸大根、ぜんまい、筍が一鉢に。茶色い関東タイプおでんではなく、西の人が愛する美しく澄んだ出汁のおでん。かんとだき、関東煮とか西の人が呼ぶスタイルです。関東では食べるチャンス少ないから嬉しい。
そしてかに面!石川県の金沢おでんではずわい蟹のメス、香箱蟹をおでんネタにしているという話は聞きます。ワタクシ、香箱蟹をおでんネタとして食べるのは初めまして。
甲羅に蟹ほぐし身と内子と外子が詰まって、おでん出汁を吸ってえらいことになっている。つまり、旨い。お手間がかかったかに面を用意してくれて感謝です。ふわりさんもブログ記事中で「ヒットはコレ」とイチ押しされておる。
さて。御肉カテゴリーにいくかな。(まだまだ喰う)
オットもワタシも見逃せない好きな物、うずら肉。ふたりとも塩を所望だ。トッピングは茂幸さんの春の名物、花山椒です。
塩焼うずら+花山椒。脂少なく身がしまっている鶉。花山椒の印象の方が大きかったかも。
御肉カテゴリーを選んでいて「うちのすき焼きは変わったビジュアルですよ。うふふ…」と女将。あら、気になる。ってことでオットが選んだすきやきがこちら。ベースに敷かれた卵のねっとりしたソースにすき焼き風たれで仕上げられた牛肉と葱がON。花山椒が山のようにトッピング。変わっています、てか未だかつて見たことがない「すきやき」でした!
ポークソテーも茂幸流だとこうなる。ワタシが選びました。ナニ、このおしゃれ洋食みたいなポークソテー。和魂洋才?ソースはバター使用か?こってり旨いんだけど。
厚めの豚ロースもおいしくて。花山椒山盛りだし。これは、もう一度再会したいポークソテー。その時はソースのレシピを確認しなくては。
ここらで〆のごはんものにします。〆ごはんも2種は食べたろか、と思ったものの力尽きました。カレーください。ブロッコリーが混ぜ込まれたカレーごはんというひと捻り。茶碗が澤克典さん作でうれしかったですよね、ふわりさん。茂幸さんでこのごはん茶碗に会ったのは初めて。
オット、シーフードカレーで胃袋を閉じる。ごちそうさま。
ワタクシの最後はビーフカレー。コレ、カレー屋さんレベルにうまいんですけど?茂幸さんが本気で作るとおでんもカレーも洋食も専門店クオリティ。
本日いただいた日本酒は惣右衛門、一掴、月山、一蕾(司牡丹)などを9合だったかなぁ。お会計は約51000円といつもより控えめ価格で着地。こんなに食べたのに申し訳ない。
「いや~。召し上がりましたねっ」と苦笑する大将。こんなに食べるヤツがいると採算合わないですよね、スミマセン。
食べたい物を無限に食べられて、しかもすべてがハイクオリティって・・・なんでしょ、ここはパラダイス?「大将!美味しい物をおなかいっぱい食べるって幸せですね!」と中学生男子みたいな感想を言って紅梅咲く店を後にしました。
和食の名店でカウンターのあり方を学び、代々木上原の住宅街で世界観を開花させる料理人に注目|【茂幸】 │ ヒトサラマガジン
閑静な住宅街である渋谷区西原に、2020年4月、舌の肥えた大人を集める和食店が誕生した。店主は【麻布 幸村】で9年研鑽を積んだ菅野茂男さん。師匠の姿からカウンターの美学を吸収した菅野さんが提供するのは、ひとりひとりを気遣ったパーソナルな食体験だ。
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